IM
    レポート
    洋画家たちの青春 ─ 白馬会から光風会へ
    東京ステーションギャラリー | 東京都
    洋画壇の雄、100年の輝き
    洋画の美術団体、光風会。1912(明治45)年に白馬会展に出品していた7人が設立し、今年、100回展を迎えます。光風会とその周辺の画家の作品から、明治から昭和にかけての洋画壇を展観していきます。
    (右から)藤島武二《うつつ》 / 藤島武二《山中湖畔の朝》 / 湯浅一郎《西日》
    (左から)黒田清輝《暖かき日》 / 黒田清輝《鉄砲百合》
    (左から)南薫造《葡萄棚》 / 跡見泰《婦人像》
    (右から)斎藤豊作《夕映の滝》 / 児島虎次郎《旭川の夏》
    (左から)伊勢正義《赤い上衣の女》 / 内田巌《イギリスの女A》 / 脇田和《二人》 / 中西利雄《花》
    (右から)太田三郎《三嬌図》 / 佐分真《印度の女》
    (左から)小磯良平《横臥裸婦》 / 鬼頭鍋三郎《黒椅子の少女》
    (右から)南政善《インドの女》 / 高光一也《黒衣の像》 / 渡邉武夫《診察室の宮崎先生》
    (右から)井手宣通《伊豆》 / 岡田又三郎《シャペル》 / 櫻田精一《東京駅》 / 藤本東一良《上昇気流》 / 金子徳衛《卓と椅子》
    明治後半の日本洋画壇。明治美術会(日本最初の洋画団体)の流れを継いだ太平洋画会と、フランスから帰国した黒田清輝が設立した白馬会は、それぞれ「旧派(脂派)」「新派(紫派)」と呼ばれ、独自の活動を行っていました。

    黒田は「官展である文展に大同団結すべき」と主張し、白馬会を1911(明治44)年に解散(ただ、太平洋画会は解散しませんでした)。作品発表の場が失われる事に危機感を覚えた、旧白馬会の三宅克己、中澤弘光、山本森之助、小林鍾吉、岡野栄、跡見泰にデザイナーの杉浦非水を加えた7名が結成したのが、光風会です。


    会場入口から

    展覧会は、時代ごとの3章構成です。

    第Ⅰ章は「白馬会から光風会へ(明治~大正初期)」。光風会の発足にあたっては黒田清輝も理解を示し、和田英作、岡田三郎助、藤島武二らとともに、展覧会には賛助出品という形で参加しています。

    本展も、会場冒頭は黒田清輝の作品から始まります。和服の愛らしい女性像《五葉蔦》を描いた岡田三郎助も光風会の会員ではありませんが、その関係は極めて密接でした。


    動画の最後が、岡田三郎助《五葉蔦》

    第Ⅱ章は「激動の時代(大正~昭和初期)」です。順調なスタートを切った光風会ですが、時代の荒波は洋画壇にも押し寄せてきます。

    官展は、帝国美術院の設立によって「文展」から「帝展」に変わっていましたが、昭和10年に、時の文部大臣が組織変更を提議したことで紛糾します(いわゆる「松田改組」)。

    2年近くに及んだ混乱の末、再び文部省が主催する官展として「新文展」の開催が決定。松田改組に反対していた光風会は新文展を支持し、アカデミックな美術団体としての性格を強めていきます。


    第Ⅱ章「激動の時代(大正~昭和初期)」

    第Ⅲ章は「昭和の展開」。時局が悪化し、1945(昭和20)年は展覧会が中止となります。光風会の歴史の中で展覧会が行われなかったのは、1915(大正4)年と1922(大正11)に会場の都合で実施できなかった事を除くと、この年のみです。

    展覧会は翌年に再開されるも、疎開者や行方不明者がいて出品数が激減。ただ、徐々に勢いを取り戻し、1956(昭和31)年に社団法人になる頃には800点を超えるまでに。1世紀に渡って、日本洋画の具象表現に大きな足跡を残し続けています。


    第Ⅲ章「昭和の展開」

    展覧会タイトルの「洋画家たちの青春」は、出品作80余点の約半数が、画家たちが10代~30代の時に描いた作品という理由から。意欲に満ちた若い才能の輝きをお楽しみください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年3月20日 ]

    月刊 美術 2014年 04月号

     

    実業之日本社
    ¥ 1,840

     
    会場
    会期
    2014年3月21日(金)~5月6日(火)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    ※金曜日は20:00まで
    ※入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日休館 ただし5月5日は開館
    住所
    東京都千代田区丸ノ内1-9-1 東京駅丸ノ内北口
    電話 03-3212-2485
    公式サイト http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
    料金
    一般 900円/高校・大学生 700円/小・中学生 400円
    ※20名以上の団体は100円引き
    ※障がい者手帳等持参の方は100円引き、その介添者1名は無料
    展覧会詳細 洋画家たちの青春 ─ 白馬会から光風会へ 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    大阪府立博物館 学芸員募集(考古・古代史) [大阪府立近つ飛鳥博物館 又は 大阪府立弥生文化博物館]
    大阪府
    【公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団】学芸員募集 [ポーラ伝統文化振興財団(品川区西五反田)141-0031 東京都品川区西五反田2-2-10 ポーラ五反田第二ビル]
    東京都
    丸沼芸術の森 運営スタッフ募集中! [丸沼芸術の森]
    埼玉県
    八尾市歴史民俗資料館 学芸員募集中! [八尾市歴史民俗資料館での学芸員職]
    大阪府
    観峰館 学芸員募集中! [観峰館]
    滋賀県
    展覧会ランキング
    1
    東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ) | 東京都
    逆境回顧録 大カイジ展
    開催中[あと44日]
    2024年3月16日(土)〜5月12日(日)
    2
    SOMPO美術館 | 東京都
    北欧の神秘 ― ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画
    開催中[あと72日]
    2024年3月23日(土)〜6月9日(日)
    3
    東京都美術館 | 東京都
    印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵
    もうすぐ終了[あと9日]
    2024年1月27日(土)〜4月7日(日)
    4
    東京国立近代美術館 | 東京都
    美術館の春まつり
    もうすぐ終了[あと9日]
    2024年3月15日(金)〜4月7日(日)
    5
    国立科学博物館 | 東京都
    特別展「大哺乳類展3-わけてつなげて大行進」
    開催中[あと79日]
    2024年3月16日(土)〜6月16日(日)