IM
    レポート
    特別展「栄西と建仁寺」
    東京国立博物館 | 東京都
    琳派のルーツ、5年ぶりにお目見え
    日本に禅宗をもたらした僧、明庵栄西(みんなんようさい 1141~1215)。その800遠忌にあわせ、栄西が開創した建仁寺ゆかりの宝物を一堂に集めた展覧会が、東京国立博物館で始まりました。
    国宝 俵屋宗達筆《風神雷神図屛風》建仁寺
    《明庵栄西坐像》神奈川・寿福寺
    (手前から)《織田有楽斎坐像》京都・正伝永源院 / 狩野山楽筆《蓮鷺図襖》京都・正伝永源院
    (左手前)康乗作《蘭渓道隆坐像》京都・西来院
    (右手前)重要文化財《打掛 亀甲花菱模様縫箔 高台院所用》京都・高台寺
    重要文化財 海北友松筆《竹林七賢図》建仁寺
    重要文化財 海北友松筆《雲龍図》建仁寺
    (左から)伊藤若冲筆《雪梅雄鶏図》京都・両足院 / 曾我蕭白筆《山水図》京都・久昌院
    (左から)白隠筆《百寿福禄寿》山口・普賢寺 / 長沢芦雪筆《牧童吹笛図》京都・久昌院
    日本に臨済宗を伝え、京都最古の禅寺である建仁寺を開いた栄西禅師。茶種を宋から持ち帰って栽培した日本の茶祖としても尊崇されています。ちなみに「えいさい」とも「ようさい」とも呼ばれますが、本展では建仁寺での呼称に従って「ようさい」としています。

    会場入口は《明庵栄西坐像》(神奈川・寿福寺)から。現存する栄西の像の中で最も古いこの像を含め、栄西の肖像は頭部が異様に長く角張っていますが、これは記憶力を高める厳しい修行の結果、頭が12cm伸びたという伝承に由来します。


    会場入口から。奥に進むと栄西が日本にもたらした茶道を象徴する「四頭茶会」の空間が再現されています。

    本展の準備を進める中で、驚きの発見がありました。南宋出身の渡来僧で、建仁寺の第十一世住持(住職)になった蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)を彫った江戸時代の像内から、古い蘭渓道隆像の頭部の一部が見つかったのです。

    建仁寺は何度も火災にあっているため、鎌倉時代から同寺にあった彫刻は全て失われたと考えられていましたが、残っていた像は、その形状から鎌倉時代のものと推定。一部とはいえ、最古の彫像の遺品が見つかった事となります。

    ぜひ目の前で見たいものですが、残念ながら開口部より大きいため、取り出すことは不可能。会場では写真パネルで解説されています。


    康乗作《蘭渓道隆坐像》(京都・西来院)の内部から、驚きの発見が

    建仁寺は戦国時代の戦乱で伽藍のほとんどが焼失、今の方丈は慶長四年に安国寺恵瓊が再建したものです。

    再建時に障壁画を描いたのが、桃山画壇を代表する絵師のひとり、海北友松(かいほうゆうしょう 1533~1615)。会場には豪快な重文「雲龍図」をはじめ重文「竹林七賢図」、重文「琴棋書画図」、重文「山水図」、重文「花鳥図」と、方丈を彩る海北友松の障壁画が多数出展されています。


    重要文化財 海北友松筆《雲龍図》建仁寺

    展覧会最大の目玉が、俵屋宗達による国宝《風神雷神図 屛風》。会場の一番最後に登場します。

    建仁寺のみならず、日本絵画全体の中でも至宝とされ、教科書などでもよく知られる作品。金地による空間の広がり、“たらし込み”で描かれた雲、擬人化されたユーモラスな表情の二神…。余計な解説は不要と思います。お時間が許す限り、じっくりとお楽しみください。


    国宝 俵屋宗達筆《風神雷神図屏風》建仁寺

    なお、東京国立博物館 本館7室では、2014年4月8日(火)から5月18日(日)まで、尾形光琳による重要文化財「風神雷神図屛風」を展示。この期間は宗達と光琳の「風神雷神」が6年ぶりに同時公開される事になります。なかなか味わえない両作を比べて観られる大チャンスです!
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年3月24日 ]

    ※会期中に作品の展示替えがあります

    栄西と禅の世界

     

    宝島社
    ¥ 1,260

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2014年3月25日(火)~5月18日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~18:00
    ※総合文化展は17:00まで
    ※時期により変動あり
    いずれも入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日休館 ただし4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館、5月7日(水)は休館
    住所
    東京都台東区上野公園13-9
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://yosai2014.jp/
    料金
    一般 1,600(1,400/1,300)円/大学生 1,200(1,000/900)円/高校生 900(700/600)円
    ※()内は前売/20名以上の団体料金
    ※中学生以下無料
    ※障害者とその介護者1名は無料(入館の際に障害者手帳等をご提示ください)
    展覧会詳細 特別展「栄西と建仁寺」 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    大阪府立博物館 学芸員募集(考古・古代史) [大阪府立近つ飛鳥博物館 又は 大阪府立弥生文化博物館]
    大阪府
    【公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団】学芸員募集 [ポーラ伝統文化振興財団(品川区西五反田)141-0031 東京都品川区西五反田2-2-10 ポーラ五反田第二ビル]
    東京都
    丸沼芸術の森 運営スタッフ募集中! [丸沼芸術の森]
    埼玉県
    八尾市歴史民俗資料館 学芸員募集中! [八尾市歴史民俗資料館での学芸員職]
    大阪府
    観峰館 学芸員募集中! [観峰館]
    滋賀県
    展覧会ランキング
    1
    東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ) | 東京都
    逆境回顧録 大カイジ展
    開催中[あと44日]
    2024年3月16日(土)〜5月12日(日)
    2
    SOMPO美術館 | 東京都
    北欧の神秘 ― ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画
    開催中[あと72日]
    2024年3月23日(土)〜6月9日(日)
    3
    東京都美術館 | 東京都
    印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵
    もうすぐ終了[あと9日]
    2024年1月27日(土)〜4月7日(日)
    4
    東京国立近代美術館 | 東京都
    美術館の春まつり
    もうすぐ終了[あと9日]
    2024年3月15日(金)〜4月7日(日)
    5
    国立科学博物館 | 東京都
    特別展「大哺乳類展3-わけてつなげて大行進」
    開催中[あと79日]
    2024年3月16日(土)〜6月16日(日)