細川家ゆかりの文化財を保存・公開している
永青文庫。春季展として開催される本展は、重要文化財《洋人奏楽図屏風》を中心に、桃山から江戸時代初期の美術工芸品や書状なども展示する構成です。
お目当ての重要文化財《洋人奏楽図屏風》は、3階の企画展示室の入り口です。作品は、セミナリヨ(宣教師が開設した学校)で西洋画法を学んだ日本人が描いたもの。日本にキリスト教を伝えたイエズス会は、まず大名を改宗させて、領民をまとめて信者にする戦略をとっており、この屏風も大名への贈り物と考えられています。
リュートやハープを奏でる貴人や、キリストの受難を寓意する葡萄の収穫などのモチーフは、西洋の銅版画などを参考に描かれました。ほぼ同じ構図の作品が、MOA美術館にも収蔵されています。
重要文化財《洋人奏楽図屏風》キリスト教伝来の6年前(1543年)、種子島に漂着したポルトガル人から伝わったのが鉄砲です。その威力は従来の戦い方を一変させ、信長の権勢拡大につながっていきました。
細川家の九曜紋が象嵌された2丁の銃は、肥後の名工である林又七と、兄の八助による火縄銃です。又七が手掛けた見事な鍔も紹介されています。
林又七らによる、火縄銃と鍔茶の湯も、この時代に大きな広がりを見せました。中国製の“唐物”や、朝鮮で焼かれた“高麗茶碗”とともに珍重されたのが、東南アジアからの“南蛮物”です。
会場にはベトナム産の茶碗、フィリピン・ルソン経由の壺なども並びます。
南蛮物の茶道具企画展は3階ですが、4階と2階でも関連の展示が行われています。2012年7月にオープンした4階では、重要文化財の《石造如来坐像》をはじめ、細川家に伝わる甲冑などを紹介。もとは細川家の居住スペースだった2階には、白隠の掛け軸などが展示されています。
展示は4階と2階にも重要文化財《洋人奏楽図屏風》は、右隻と左隻がそれぞれ前後期で展示されます。前期は5月11日(日)まで、後期は5月13日(火)からです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年4月1日 ]