“きかんしゃトーマス”の原作者は、牧師のウィルバート・オードリー。1945年、病気で寝込んでいた息子のために作った蒸気機関車の話を出版したことが、世界的ベストセラーのきっかけになりました。
楽しいストーリーと色鮮やかな挿絵はたちまち評判となり、1973年には日本でも「汽車のえほん」シリーズとして発行。1984年にはイギリスでTVシリーズ「きかんしゃトーマスとなかまたち」が始まり、日本でも1990年に放送開始。世界185地域、30カ国語で放送されるようになりました。
会場入口から。1巻~11巻はレジナルド・ダルビーが絵を描きました。トーマスの登場は第2巻からです。ウィルバート・オードリーが手がけた「汽車のえほん」のシリーズは、全26タイトル・105話。三組四名の画家が絵を手掛けています。
1巻から11巻はレジナルド・ダルビー(最初は1・2巻ともそれぞれ別の画家が描いていましたが、3巻目からダルビーに変更になり、その後ダルビーが1・2巻も描きなおしています)、12巻から17巻はジョン・T・ケニー、18巻~26巻はガンバー&ピーター・エドワーズ夫妻です。
会場では全26タイトルの原画を紹介。原画を比べると、背景や人物の描写にかなりの差異がある事が分かります。
12巻~17巻はジョン・T・ケニー、18巻~26巻はガンバー&ピーター・エドワーズ夫妻。会場には、原作者のウィルバート・オードリー自身が挿絵を描いた資料も展示されています。
機関車の表現には、強いこだわりをもっていたウィルバート(1人目から2人目への画家の交代も、描かれた機関車の不正確さがきっかけでした)。絵を描く事は本職ではありませんが、スケッチからも機関車に対する愛情が伝わってきます。
貴重な自筆のスケッチも展示会場では、トーマスのテレビシリーズで使われた機関車車両も紹介。また、近隣の原鉄道模型博物館から「きかんしゃトーマスとなかまたち」のモデルとなった機関車の模型も特別展示されています。
さらにトーマスシリーズのプラレールと、木製のレールジオラマも展示。後者は触って自由に遊ぶ事も可能です。
「きかんしゃトーマスとなかまたち」のモデルとなった機関車模型もウィルバートは1997年に85歳で死去。26巻まで出版されていた「汽車のえほん(The Railway Series)」は、息子のクリストファー・オードリーが引き継ぎ、今では42巻まで進みました。27巻以降は日本では未出版ですが、会場には一部の原画も紹介されています(絵はクライブ・スポング)。
原鉄道模型博物館との特別コラボも実施中。展覧会の開催期間中に各館でそれぞれのチケットを提示して入館すると、プレゼントが進呈されます(一人チケット1枚につき1回限り、グッズがなくなり次第終了)。
本展は全国巡回展。美術館「えき」KYOTOからスタートし、横浜展の後は、5月24日(土)~7月23日(水)に
島根県立石見美術館、9月6日(土)~10月26日(日)に
郡山市立美術館、11月1日(土)~12月23日(火)に
新潟市新津美術館に巡回します。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年4月14日 ]