Jリーグの開幕は1993年、サッカー日本代表がFIFAワールドカップに初出場を決めたのは1997年。現在では想像もできませんが、週刊少年ジャンプで「キャプテン翼」が始まった1981年は、日本ではサッカーは注目されるスポーツではありませんでした(ちなみにこの年の日本サッカーリーグ優勝チームはフジタ工業、年間最優秀選手は釜本邦茂です)。
文字通り、日本のサッカー文化を切り開いた「キャプテン翼」。展覧会は、その世界を存分に楽しめる構成です。
連載第1回が掲載された週刊少年ジャンプのほか、翼が若林邸に向けて蹴った「挑戦状ボール」の“実物”なども展示されています
過去にも原画の展示は何度か行われた事がある「キャプテン翼」ですが、今回は美術館レベルで行われる初めての大規模展。特徴のひとつが、充実した立体的な展示です。
会場には、物語の初期の舞台である“南葛市”のジオラマも設置。翼を応援する“あねご”こと早苗や、ゴールを守る若林などの名シーンも再現されています。
天才サッカー少年、大空翼は小学6年生で南葛市に転居してきました
小学生の時から戦いを続ける中で大きく成長していった翼。「キャプテン翼」の世界を支えたのは、個性あふれるチームメイトやライバルたちです。主要なキャラは、原画とともにパネルも展示。修哲カルテット、早川くん、立花兄弟、松山くんらは、作者の高橋陽一先生のコメント付きで紹介されています。
翼の最大のライバルといえば、もちろん日向くん。恵まれない環境で育ったハングリーさを武器に、数々の必殺シュートを繰り出しました。会場には「ネオ・タイガーショット」を生み出した時に使われた、通常の3倍の重さのボール(持ち上げられます)のほか、ピッチをえぐり壁にボールが突き刺さる「雷獣シュート」も展示されています。
ユニフォームの袖を肩までまくった姿は、日向くんのトレードマーク
ここまでが展示室1~3。この他にも高橋先生の仕事机の再現や、コラボ商品や世界中で愛されたコミックなどの展示、高橋先生考案のサッカーアトラクション「DREAM KICK」など、会場は2フロアで展示室10までありますので、まだまだお楽しみいただけます。
開幕前日のプレス内覧会には高橋先生も登場。披露された3m×2.2mの巨大カラーイラストは、翼の豪快なオーバーヘッド・キックでした。
サッカーアトラクション「DREAM KICK」は、入った場所でカードが貰えます
ちょうどワールドカップの時期に合わせた企画。現在連載中の物語では、翼はFCバルセロナに所属しているため(ブラジルのエース・ネイマールらと同僚という事になります)、会場にはバルサのコーナーも。サッカー好きの方ならどなたでも楽しめる展覧会です。
もちろん、私のようなオールドファンならさらに大興奮。テレビゲーム版の名セリフ「くそ!ガッツが足りない!」は、今でも疲れた時の口癖です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年6月13日 ]