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    レポート
    特別展 ガウディ×井上雄彦 - シンクロする創造の源泉 -
    森アーツセンターギャラリー | 東京都
    井上雄彦が紡ぐ、ガウディの思い
    建築界の巨匠アントニ・ガウディ。大人気漫画家の井上雄彦さん。建築家と漫画家のコラボレーションという、前例のない展覧会が六本木の森アーツセンターギャラリーではじまりました。
    第2章 建築家ガウディ、誕生 会場風景
    《大学講堂:横断面〈卒業設計(建築家資格認定試験)〉》アントニ・ガウディ 1877年 カタルーニャ工科大学バルセロナ建築学部ガウディ記念講座 ©Càtedra Gaudí
    カサ・ミラの1/150の石膏模型
    《カサ・ミラ:正面図》アントニ・ガウディ 1906年 カタルーニャ工科大学バルセロナ建築学部ガウディ記念講座 ©Càtedra Gaudí
    カサ・ミラの窓細工の展示風景。窓から見える風景がプロジェクションマッピングで投影されています
    サグラダ・ファミリア贖罪聖堂の石膏模型
    《新道路整備計画に基づくサグラダ・ファミリア聖堂の景観図》アントニ・ガウディ 1916年 バルセロナ市現代公文書館
    インタビューに応じる井上雄彦さん
    ミュージアムショップもお見逃しなく
    スペイン第2の都市、バルセロナで活動したアントニ・ガウディ。世界遺産に登録された建築物をはじめとする作品群は、今も多くの人を引き付けてやみません。

    一方の井上雄彦さんは、バスケ漫画の名作「SLAM DUNK」をはじめ、「バガボンド」「リアル」などで知られる漫画家。近年は東本願寺の屏風絵など、漫画の枠を超えて活動し、注目を集めています。

    ガウディと井上雄彦さんのコラボレーション。いったいどのような展覧会になるのか、想像もできないままに内覧会へ向かいました。

    展覧会の構成はほぼ時系列で、ガウディの人間像とその作品を約100件の資料で紹介。さらに井上雄彦さんが描くガウディの物語は、ガウディへの理解を深めてくれます。

    第1章は若き日のガウディが建築家として認められるまで。大学での課題設計などを見ることができます。

    ガウディは幼いころリウマチを患い、子供時代に外で思うように遊ぶことができませんでした。ですが、その時に自然の中にある様々な形態を観察したことが、その後大きな成果となって表れていきます。

    第2章では建築家として成功し、様々な仕事を手掛けたガウディの円熟期を紹介します。この時期の作品はグエル公園やカサ・ミラ、カサ・バトリョなど、今もバルセロナ観光の定番スポットとなっている場所ばかりです。

    この章で一際目を引くのは、曲線を多用した壁面が印象的なカサ・ミラの大きな模型。完成当時より「ラ・ペドレラ(石切場)」と呼ばれ、今では世界的に人気の観光地です。今回の展覧会の創作のために、バルセロナに滞在した井上雄彦さんがアトリエを構えたのも、このカサ・ミラです。

    会場ではカサ・バトリョの扉などの建具や、家具なども展示。緩やかな曲線を用いたガウディらしい美しいデザインです。

    会場の床も要チェック。第1章に敷かれた緑色の六角形のタイル。こちらは本国から輸入したガウディデザインのもので、現在はバルセロナの大通りであるグラシア通りにも用いられています。細かな曲線模様は海洋生物がモチーフ。

    第2章の床にはカラフルなモザイクタイルの魚やウミガメが泳ぎだす演出があります。大きなウミガメに出会えるかは運次第です。

    第3章はガウディが終生その建築に心身を尽くしたサグラダ・ファミリアを取り上げます。ガウディはまだ実績に乏しかった31歳のころ、サグラダ・ファミリアの2代目主任建築家に就任。それから131年、現在は9代目が現場を指揮します。

    建築現場では、模型を元に仕事をしていたガウディ。わずかに残っていた資料も戦禍で喪失し、現在は復元模型と弟子が残した完成予想図を分析しながら、建設が進んでいます。展覧会ではそのスケッチや、模型などを見ることができます。

    今も日々刻々とその姿を変え続ける未完の大作は、ガウディ没後100年となる2026年の完成を目標に工事が進んでいます。

    井上雄彦さんが表現するガウディの物語を追いながら進む展覧会。その最後は内覧会で思わず涙ぐんでしまいました。レポートではご紹介できませんので、ぜひ現地でご覧ください。

    井上さんは「ガウディを勉強して、表現したいことはたくさんあった。そのなかで、自分が一番大切に思っていることで、ガウディとの共通項はこれじゃないかなと思ったところを最終的に描いた」と語りました。

    建築の実物を見せることができないガウディの展覧会ですが、見どころは十分。井上雄彦さんのファンの方も、ガウディ建築がお好きな方も楽しめる展覧会になっています。

    展覧会は約1年かけて金沢、長崎、神戸、仙台へ巡回します。
    [ 取材・撮影・文:川田千沙 / 2014年7月11日 ]

    Casa BRUTUS(カーサ・ブルータス)2014年8月号[雑誌]
    マガジンハウス (著, 編集)
    ¥ 980

    料金当日一般 1,800円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2014年7月12日(土)~9月7日(日)
    会期終了
    開館時間
    ※展覧会によって異なります。
    休館日
    会期中無休
    住所
    東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー52階
    電話 050-063-050(ローソンチケット内)
    公式サイト http://www.gaudinoue.com/
    料金
    一般・大学生 1,800(1,600)円/中・高生 1,300(1,100)円/4歳~小学生 800(600)円
    ※団体料金は15名以上で適用されます。
    ※3歳以下入館無料。
    ※展望台・森美術館の入場券をお持ちのお客様には、当日に限りお得な追加券もございます。
    ※障がい者手帳をお持ちの方と介助者(1名まで)は、当日入館料が一般・大学生¥900(税込)、
    中・高校生¥650(税込)、4歳~小学生¥400(税込)となります。
    展覧会詳細 特別展 ガウディ×井上雄彦 - シンクロする創造の源泉 - 詳細情報
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