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    レポート
    だまし絵Ⅱ 進化するだまし絵
    Bunkamura ザ・ミュージアム | 東京都
    5年ぶりの「だまし絵」展は、現代美術に注目
    2009年に東京・名古屋・神戸で開催され、計75万人を動員した「だまし絵」展がパワーアップ。Bunkamura ザ・ミュージアム で、目の錯覚から生まれる驚きの作品を楽しめます。
    (左から)ジュゼッペ・アルチンボルド《ソムリエ(ウエイター)》 / ジュゼッペ・アルチンボルド《司書》
    (左から)作者不詳(イタリアの画家)《歪曲像「アダムとエヴァ」》 / ゲルト・ディットマース《円筒アナモルフォーズ デンマーク王フレデリク3世と王妃ゾフィー・アマリエの肖像》
    (左から)チャック・クロース《ジョージア/フィンガーペインティング》 / チャック・クロース《マルタ/フィンガープリント》
    (左から)杉本博司《Polar Bear》 / 杉本博司《Hyena-Jackal-Vulture》
    (左)福田美蘭《婦人像》 / (右5点)福田美蘭《Copyright原画》(右5点)
    (左から)ゲルハルト・リヒター《影の絵》 / ゲルハルト・リヒター《影6》 / 高松次郎《影の自画像》
    (左から)エヴァン・ペニー《引き伸ばされた女 #2》 / マルクス・レーツ《SI-NO No.3/6》
    視覚に関する科学的探究の深まりとともに本格化した「だまし絵」の世界。前回同様に16世紀絵画から現代美術までを対象にした多彩な作品が並びますが、今回は現代美術の作品を数多く紹介しているのが特徴的です。

    展覧会は4章構成ですが、その前に古典的な巨匠の作品を紹介する序章から。展覧会メインビジュアルであるジュゼッペ・アルチンボルドの人物像のほか、側面から見ると意味がある絵に見える「アナモルフォーズ」の手法で描かれた絵画などがこちらで展示されています。


    「序章」

    1章は「トロンプルイユ」。仏語で「目をだます」という意味のこの言葉は、美術では「事物が本物そっくりに、かつ目の前に実在するかのように描かれた絵画」として用いられます。

    米国のスーパーリアリズムの流れを受けた作家のほか、須田悦弘の木彫(一昨年に千葉市美術館で個展が開催されました)、福田美蘭の絵画(こちらは昨年、東京都美術館で個展が開催されました)などが展示されています。


    第1章「トロンプルイユ」

    2章は「シャドウ、シルエット&ミラー・イメージ」です。

    福田繁雄の《アンダーグランド・ピアノ》は、一見では意味不明の造形物が、ある地点から鏡に映った像を見るとグランド・ピアノになっている作品。「日本のエッシャー」と称される福田の真骨頂です。

    ラリー・ケイガンは、ワイヤーの作品に光を当てると、蚊やトカゲの影が壁に映し出される作品。ワイヤー作品なので抜けている部分が多いにも関わらず、投影された影ではきちっと面ができているのに驚かされます。


    2章「シャドウ、シルエット&ミラー・イメージ」

    3章は「オプ・イリュージョン」。1960年代後半に現れたオブ・アート(オプティカル・アート)は、幾何学的な形態や色彩の作用で、画面上に凸凹や振動などの効果をもたらす手法です。

    鮮やかな色彩で目をひくヴィクトル・ヴァザルリ、描かれた作品の形状と遠近法の作用を利用した「リバースペクティブ」で、視線を動かすと驚くべき動きを見せるパトリック・ヒューズの作品などが並びます。


    3章「オプ・イリュージョン」

    最後の4章は「アナモルフォーズ・メタモルフォーズ」。エッシャーやマグリッド、ダリなどもありますが、ここも目を引くのは現代美術作品。

    縦に極端に引き延ばされたエヴァン・ペニーの《引き延ばされた女 #2》は、コンピュータで原型を制作した作品。二次元の画像加工はPhotoshopなどでお馴染みですが、立体になるとここまで違和感を覚えます。


    4章「アナモルフォーズ・メタモルフォーズ」

    東京展は10月5日まで。10月15日~12月28日に兵庫県立美術館、2015年1月10日~3月22日に名古屋市美術館 に巡回します。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年8月8日 ]

    アルチンボルド―エキセントリックの肖像

    ジャンカルロ マイオリーノ (著), Giancarlo Maiorino (原著), 高山 宏 (翻訳)

    ありな書房
    ¥ 4,104

    料金一般当日:1,500円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2014年8月9日(土)~10月5日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00迄) ※入館は各閉館の30分前まで
    休館日
    9月8日
    住所
    東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
    電話 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/
    料金
    一般 1,500(1,300)円/大学・高校生 1,000(800)円/中学・小学生 700(500)円
    ※()内は前売り及び20名以上の団体料金
    展覧会詳細 だまし絵Ⅱ 進化するだまし絵 詳細情報
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