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    レポート
    高松次郎ミステリーズ
    東京国立近代美術館 | 東京都
    ユニークな会場構成にも注目
    1960年代から90年代まで第一線で活躍した現代美術家、高松次郎(1936-1998)。素材もアプローチも異なるさまざまな作品を一堂に集め、その思考をミステリーを読み解くように感じてもらう企画展です。
    会場
    「影ラボ 4」では椅子が回転し、壁にその影が映ります
    (右)《不安な英雄》
    《複合体(椅子とレンガ)》
    (左)《影の圧搾》 / (右)《影(母子)》
    (左から)《形 / 原始 No.1382》 / 《形 No.1202》
    サングラスをかけて、記念撮影できます
    高松次郎は東京生まれ。東京藝術大学を卒業後、読売アンデパンダン展での発表を皮切りに、中西夏之、赤瀬川原平らとともにハイレッド・センターを結成、ヴェネチア・ビエンナーレをはじめ国外でも活躍するなど、1998年に直腸ガンで死去するまで精力的に創作を続けました。

    絵画から立体造形、パフォーマンス、写真など、多彩な手法で知的な視覚表現を追及した高松。その作品は一見では無関係のように見えながらも、背後には一貫したつながりが潜んでいます。


    会場最初の作品は《No.273(影)》。モデルを描かずに影だけを描いた〈影〉シリーズは、高松を代表する作品群です。

    本展では本格的な作品紹介の前に、高松の〈影〉シリーズを題材にした「影ラボ」というユニークな趣向が用意されています。

    異なる光源で影が二重に見えたり、回転する椅子の影が投影されたりと、「影ラボ」は4カ所。高松の思考世界に踏み出すきっかけに、と設定されました(会場内で「影ラボ」のみは撮影可能です)。


    「影ラボ」では、《No.273(影)》のような二重の影も作れます

    展覧会は年代ごとの3章構成です。

     第1章:「点」、たとえば、一つの迷宮事件 1960-1963
     第2章:標的は決してその姿をあらわさない 1964-1970s
     第3章:それは「絵画」ではなかった 1970s-1998

    それぞれの章を、別のキュレータ―(順に桝田倫広・蔵屋美香・保坂健二朗の各氏)が担当している事も特徴的。オブジェや彫刻、絵画など約50点と、関連ドローイング類約150点が並びます。

    1966-71年に手掛けた〈遠近法〉も、高松の代表的なシリーズのひとつ。「近くのものは大きく、遠くのものは小さい」という遠近法を逆手に取ったような作品です。

    《遠近法の椅子とテーブル》は、1966(昭和41)年の立体作品。絵画を見るように正面から見ると特に違和感を感じませんが、横に回ると奇妙な形をしている事がお分かりでしょうか。

    実は〈影〉と〈遠近法〉も関係があります。光源に近づく=キャンバス(壁面)から遠ざかると影は大きくなり、近づくと小さくなる。つまり影は逆遠近法の性質を持っているのです。


    《遠近法の椅子とテーブル》

    本展の会場構成は、トラフ建築設計事務所。会場内に設けられた一段高い「ステージ」も楽しい仕掛けです。多彩な作品を見渡すことで、その一貫した思考を感じてもらおう、という趣向です。

    ステージの床に引かれた白い線は、高松のアトリエのおおまかな大きさ。自宅に付属したこのアトリエで、高松の数々のアイデアが巣立っていきました。

    最後に、高松次郎といえば、サングラス姿のダンディなポートレートも印象的。会場出口には、高松の大きな写真とサングラスも用意されています。サングラスをかけて、高松とのツーショットをお楽しみください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年12月1日 ]

    不在への問い

    高松 次郎(著)

    水声社
    ¥ 4,860

     
    会場
    会期
    2014年12月2日(火)~2015年3月1日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は16:30まで)
    ※金曜・土曜は20:00まで開館(入館は19:30まで)
    休館日
    月曜日(ただし1月12日は開館)、12月28日(日)―1月1日(木)、1月13日(火)
    住所
    東京都千代田区北の丸公園3-1
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.momat.go.jp/Honkan/takamatsujiro/index.html
    料金
    一般900(600)円 大学生500(250)円
    高校生以下および18歳未満、障害者手帳などをご提示の方とその付添者(1名)は無料。

    ※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
    ※本展の観覧料金で入館当日に限り、同時開催の 「奈良原一高 王国」と 「MOMATコレクション」もご覧いただけます。
    展覧会詳細 高松次郎ミステリーズ 詳細情報
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