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    レポート
    天才陶工 仁阿弥道八
    サントリー美術館 | 東京都
    写しの怜悧、彫塑のユーモア
    多数の陶工が活躍し、野々村仁清が活躍した江戸時代初期に続く第二の黄金時代を迎えていた幕末の京都。代表的な名工のひとり、仁阿弥道八(にんなみどうはち 1783-1855)にスポットを当てた企画展が、サントリー美術館で開催中です。
    (左から)ともに仁阿弥道八 《色絵寿星立像》野﨑家塩業歴史館蔵 / 《白釉山羊手焙》正伝永源院蔵
    (左から)仁阿弥道八《色絵筋文入子茶碗 一双》逸翁美術館蔵 / 野々村仁清《金筋隠印茶碗》野村美術館蔵
    (左から)ともに仁阿弥道八 《色絵狸炉蓋》東京国立博物館蔵 / 《南蛮芋頭水指》京都国立博物館蔵(溝口靖夫・溝口邦夫・木村博子・井中路子氏 寄贈)
    (左から)ともに仁阿弥道八 《銹絵暦文茶碗》正伝永源院蔵 / 《銹絵暦文茶碗》湯木美術館蔵
    (左から)ともに仁阿弥道八 《色絵於福香合》東京国立博物館蔵 / 《色絵七福神香合》滴翠美術館蔵
    (左から)ともに仁阿弥道八 《色絵紫陽花文鉢》個人蔵 / 《色絵紫陽花文手鉢》個人蔵
    (左から)3点とも仁阿弥道八 《色絵宇須女置物》高津古文化会館蔵 / 《銹絵染付菊文手鉢》個人蔵 / 《色絵寿星立像》高津古文化会館蔵 / 三代高橋道八 讃窯《色絵菊文手鉢》東京国立博物館蔵(小倉安之氏寄贈)
    (左から)讃窯《褐釉人面貼付文徳利》東京国立博物館蔵(小倉安之氏寄贈) / ドイツ・フレッヒェン《塩釉髭徳利》京都国立博物館蔵 / 仁阿弥道 讃窯《色絵桜楓文鉢》京都国立博物館蔵
    (左から)三代高橋道八《飴釉鬼面瓶掛》野﨑家塩業歴史館蔵 / 仁阿弥道八 桃山窯《鬼面耳付一文字凉炉》入間市博物館蔵
    東京での京焼の展覧会は、先日まで出光美術館で開催されていた「仁清・乾山と京の工芸 ─ 風雅のうつわ」に続いてとなりますが、実はこれはかなり稀な出来事。そもそも京焼の展覧会の数が多く無い事に加え、京焼陶工の個人名を冠した展覧会に限ると、仁清・乾山の他では真葛焼の宮川香山の名があがる程度でした。

    仁阿弥道八は、現在でも関西の茶席では「仁阿弥」と呼ばれるなど人気を博していますが、これまで仁阿弥の作品がまとまって公開される機会は、意外にも少なかったといいます。会場にはボストン美術館からの里帰りも含めて、184件の作品が並びます。


    会場入口から

    仁阿弥道八は京焼の陶工・初代高橋道八の次男。自身は二代高橋道八ですが「仁阿弥」と号しました。

    仁阿弥の陶業は、半世紀にも渡ります。高級な茶道具の「写し」(茶道具の需要が高まっていたこの時代、写しの技量は陶工に求められる重要な能力でした)、文人の間で流行した煎茶の道具、華やかな懐石道具の鉢など、数多くの作品を手掛けています。


    会場

    仁阿弥の作品でとりわけ目を引くのが、彫塑的な作品の数々。置物、手焙(てあぶり:中に炭を入れて暖をとるための容れ物)、炉蓋(ろぶた:茶室の炉を覆う蓋)などで、極めてユーモラスな作品を多く残しています。

    展覧会メインビジュアルになっている寿老人は《色絵寿星立像》。高さ72.5センチという大型の像で、仁阿弥が手掛けた多くの寿老人像の中でも最大級の作品と思われます。生き生きとした作風は、冷静な観察眼を持つ「写し」の名工と同一人物と思えないほどです。


    第5章「彫塑的作品 置物・手焙・炉蓋」

    仁阿弥は自らの窯を操業する一方で、御庭焼(おにわやき:地方の藩主などが城内で焼かせた陶磁器)の指導も行いました。紀州では「紀州偕楽園焼」に参画し、讃岐高松藩では「讃窯(さんがま)」を創始。会場には御庭焼の指導者としての仁阿弥の作品も紹介されています。


    第6章「御庭焼の指導者として」

    エデュケーション・プログラムとして記念講演会(2/1)、ワークショップ(親子向けと一般向け、ともに2/15)も開催されます。いずれも事前予約制、詳しくは公式サイトでご確認ください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年12月19日 ]

    「技」の巨匠100人「技」の巨匠100人

    世界文化社 (著)

    世界文化社
    ¥ 1,296

    料金一般当日:1,300円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2014年12月20日(土)~2015年3月1日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    休館日
    火曜日、12月29日(月)~1月1日(木・祝) ※12月23日(火・祝)は開館
    住所
    東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F
    電話 03-3479-8600
    公式サイト http://suntory.jp/SMA/
    料金
    一般 1,300円(前売 1,100円)
    大学・高校生 1,000円(前売 800円)
    ※中学生以下無料
    ※障害者手帳をお持ちの方は、ご本人と介護の方1名様のみ無料
    展覧会詳細 天才陶工 仁阿弥道八 詳細情報
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