古田織部は1544年、美濃の大名の子として生まれます。若き日には信長や秀吉の配下として多くの戦に出陣し、軍功を上げています。
転機となるのは40歳前後。秀吉の茶会に招かれ、そして従軍中に千利休に出会い、本格的に茶人として活躍しはじめます。
第1章 織部の時代織部は慶長年間の華やかな世相の中で、奇抜な創意と斬新な造形美の才能を開花。「織部好み」と呼ばれる茶道具は、当時大流行します。その特徴はゆがんだ形や、○△などの幾何学模様。約400年前に描かれたとは思えない模様の茶器には驚かされます。
第2章 織部の茶の湯会場内には、織部にゆかりの深い茶室を参考に再現した茶室があります。窓が多く、開放感を感じる作りになっている点が利休と織部の違いです。床の間の花にも織部は特徴があり、茶会の記録に記載された内容で再現されています。
再現された茶室と床の間の花織部は日本各地の名窯にアドバイザー的に関わり、指導したと指摘されています。この展覧会で、私たちの身の回りの食卓で使われる食器に似た雰囲気の器を見つけることができるかもしれません。織部様式の大流行の影響の強さは今に通じています。
第3章 織部の世界織部は1615年に徳川幕府へ反逆の疑いをかけられて自刃します。華やかな慶長年間は、織部の死とともに終了し、江戸幕府の統制が強まり、慶長の「かぶく」世相は閉じられます。しかし、織部の美意識は後の武家茶の規範として受け継がれるのです。
しっとりとしたわびさびの茶道イメージとは違う、ひょうげた織部の世界が楽しめる、華やかな新年の幕開けにぴったりの展覧会です。この後
広島(奥田元宋・小由女美術館:3月2日~4月12日)、
滋賀(佐川美術館:10月10日~11月23日)へ巡回します。
[ 取材・撮影・文:川田千沙 / 2015年1月7日 ]