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    レポート
    ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展
    パナソニック汐留美術館 | 東京都
    20世紀美術館を切り開いたのは、この地から
    フランス・ブルターニュ地方の小さな村、ポン=タヴァン。独特の文化と風光明媚な自然を持つこの地はエミール・ベルナール、モーリス・ドニ、そしてポール・ゴーギャンら、多くの才能を惹きつけました。ポン=タヴァンの画家たちを紹介する展覧会が東京に巡回中です。
    (左から)ポール・ゴーギャン《2人の子供》 / ポール・ゴーギャン《玉ねぎと日本の版画のある静物》
    (左から)ポール・ゴーギャン《巡礼の瓶》 / ポール・ゴーギャン《ポン=タヴァンの木陰の母と子》
    (左から)ポール・ゴーギャン《ブルターニュの眺め》 / ポール・ゴーギャン《2人のブルターニュ女性のいる風景》
    (左から)エミール・ベルナール《水瓶をもつブルターニュの女性》 / エミール・ベルナール《りんごの採り入れ》
    (左から)ポール・セリュジエ《呪文或いは物語 聖なる森》 / ポール・セリュジエ《水瓶を持つ若いブルターニュの女性》
    (左から)アンリ・ドラヴァレー《アプレモンの家、オワーズ》 / エルネスト・ポンティエール・ド・シャマイヤール《ブルターニュの風景》
    (左から)ジョルジュ・ラコンブ《赤い土の森》 / ジョルジュ・ラコンブ《森の中の3人のビグダン地方の女性》
    (右手前)エルネスト・ポンティエール・ド・シャマイヤール《自画像(背面:風景のエスキス)》
    (左から)アンリ=ガブリエル・イベルス《礼拝行進》 / ポール・セリュジエ《ル・プルーデュの老婦人》
    会場は年代順の4章構成。第1章は、ゴーギャンが初めてポン=タヴァンを訪れた1886年頃の作品です。

    ゴーギャンの作品は今年2月に3億ドル(約360億円)で落札されて話題になりましたが、当時は絵が売れずに困窮。ポン=タヴァンを訪れたのも、生活費の安さが一因です。最初の滞在は3カ月ほど。会場にはこの地で描いたデッサンや油彩が展示されています。

    ゴーギャンが手がけた珍しい陶器は、ポン=タヴァンからパリに戻った時に陶芸家のエルネスト・シャプレと共に作ったもの。側面に手を取り合う男女があしらわれています。


    第1章「1886年 ゴーギャンの最初の滞在」


    ゴーギャンがポン=タヴァンを2度目に訪れたのは、1881年。20歳年下のエミール・ベルナールがゴッホからの推薦状を手にゴーギャンの元を訪れたのも、この年です。

    意気投合した二人は、現実と想像を同じ画面上で構成させる「総合主義」を提唱。「目に見えないものを描く」事は、後の近代絵画においては主流となる考え方です。

    ゴーギャンの作品は、この章に最多の7点。女性の特徴的な被り物はブルターニュ特有の衣装です。


    第2章「総合主義の創出」


    1889年、ゴーギャンらはパリ万博にあわせて開催した「印象主義および総合主義グループの絵画」展を開催。ポン=タヴァンで制作した作品も展示し、ブルターニュの魅力を伝えました。

    ゴーギャンはポン=タヴァンに戻りますが、すでに当地にはアカデミズム絵画の画家たちが多数いた事に反発し、仲間とともに近隣の小村ル・プルーデュへ。ゴーギャンはこの地で仲間と刺激しあう充実した時間を過ごし、後にタヒチに向かう夢も膨らませました。


    第3章「ル・プールデュでの滞在とグループの拡大」


    1891年にタヒチに渡ったゴーギャン。93年には一度フランスに戻り、まずパリに滞在。翌年にはル・プルーデュに赴き、次いでポン=タヴァンへ。結果的に、ゴーギャンにとってこれが最後のブルターニュでの滞在となりました。

    印象派から総合主義、ナビ派、象徴主義へと進む流れの中で、ゴーギャンを中心にしたポン=タヴァンの画家たちは大きな役割を果たしていったのです。


    第4章「ブルターニュでの最後の滞在、そして最後の仲間たち」

    ゴーギャンとポン=タヴァン派をテーマにした展覧会の開催は、日本では22年ぶり。ゴーギャン作品は11点とあまり多くはありませんが、うち5点は日本初公開という貴重な機会です。福井、岩手、鹿児島、広島と巡回し、東京展が最後の会場になります。[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年10月28日 ]

    もっと知りたいゴーギャン 生涯と作品もっと知りたいゴーギャン 生涯と作品

    六人部 昭典 (著)

    東京美術
    ¥ 1,728


    ■ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2015年10月29日(木)~12月20日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(入館は17:30まで)
    休館日
    11月4日(水)、11月11日(水)
    住所
    東京都港区東新橋1-5-1パナソニック東京汐留ビル4階
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://panasonic.co.jp/es/museum/
    料金
    一般 1,000円/65歳以上 900円/大学生 700円/中・高校生 500円/小学生以下無料  
    ※20名以上の団体:各100円割引  
    ※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料で入館可能
    展覧会詳細 ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展 詳細情報
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