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    レポート
    鎌倉からはじまった。1951-2016 PART 3: 1951-1965 鎌倉近代美術館 誕生
    ※2016年1月31日閉館※ 神奈川県立近代美術館 鎌倉 | 神奈川県
    さようなら、カマキン
    終戦からわずか6年後の1951年、鶴岡八幡宮の境内に日本で初めての公立近代美術館が誕生しました。「カマキン」の愛称で親しまれた神奈川県立近代美術館 鎌倉、いよいよ最後の展覧会が開催中です。
    神奈川県立近代美術館 鎌倉 外観
    コレクションを持たずに開館したため、当初は作品を集めて企画展が開かれました
    開館式の招待者名簿には安田靫彦、安井曽太郎らの名前も
    左は、コレクション第一号のアンドレ・ミノー《コンポジション》
    (左から)松本竣介《立てる像》 / 麻生三郎《死者》 / 糸園和三郎《黒い水》
    現在(右手前)と開館当時の建物の比較
    彫刻展示室は池が見渡せる解放感が特徴的でした(手前は海老塚耕一《水と風の体積》)
    正面入口のプレートは、日・英・仏・独の四カ国語表記
    64周年記念週間(11/17~11/23)は新館・旧館がライトアップされました
    東京国立近代美術館(1952年開館)より早く開館したカマキン。鶴岡八幡宮との借地契約が終わる今年度を持って、その活動に終止符が打たれる事になりました。

    今年度は1年かけ「鎌倉からはじまった。1951-2016」展を三期に分けて開催中。PART1は1985年~現在まで、PART2は1966年~1984年と、時代を遡るかたちで進み、今回のPART3では開館から新館が増築される前(1965年)までを振り返ります。

    現代の感覚からすると不思議に思えますが、カマキンは所蔵品を持たずに開館しました。活動を通してコレクションは徐々に増え、現在では松本竣介や古賀春江などの日本近代絵画をはじめ15,000点を数えます。

    カマキンの歩みと今回の展覧会について、主任学芸員の長門佐季さんにお話を伺いました。


    神奈川県立近代美術館 鎌倉 主任学芸員 長門佐季さん

    「セザンヌ、ルノワール」展で開館したカマキン。その後も佐伯祐三展やイサム・ノグチ展などを次々に開催し、まずは展覧会を開くことを活動の主軸として走り出します。

    旧館と後に建てられた新館は、ともにル・コルビュジェの愛弟子である坂倉準三が設計しました。竣工してから65年目に入った旧館は、展示室が自然採光から人工照明になった事で屋根の形が変わるなど、時代によっていくつかの改変がなされています。

    坂倉は家具類も設計しました。現存するものは多くありませんが、展覧会では喫茶室のテーブルやスツールなどが紹介されています。


    展示室

    本展にあわせ、美術館では竣工時の旧館を1/120で再現したペーパークラフトも作成しました。自然採光の時代なので、屋根の凸凹も忠実に再現。限定800部のため売り切れ必須、鎌倉館のミュージアムショップのみで販売されます(税込1,080円)。

    12月初旬までは、鎌倉館にまつわる古い写真とメッセージを募集し、美術館からの一言を添えて展示した「鎌倉館とわたし」も実施。彫刻の場所が違ったり、柱が違う色だったりと、人々だけでなく美術館自体も成長していった事が分かります。

    開館64周年記念週間(11/17~23)には、美術館のライトアップも行われました。すでに終了してしまいましたが、動画で雰囲気だけでもお楽しみください。


    美術館のライトアップも行われました。

    収蔵庫を持たず、バリアフリーにも対応していない鎌倉館が、現在の美術館の基準には合っていなかったのは事実です。作品搬入も大階段を使って手作業で行うなど、運用面での制約もありました。ただ、鎌倉の風景として馴染んでいた美術館だけに、いかにも名残惜しい気持ちは否めません。

    長い活動で培ったスピリッツが、鎌倉別館と葉山の2館体制でどのように活かされるか。来年度以降の活動にも注目したいと思います。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年11月24日 ]

    ※各所で報道されているように、本館棟は鶴岡八幡宮に引き継がれる方針がほぼ決まっています(新館棟と学芸員棟は取り壊される予定です)。


    建築家 坂倉準三 モダニズムを生きる|人間、都市、空間建築家 坂倉準三 モダニズムを生きる|人間、都市、空間

    神奈川県立近代美術館 (著)

    建築資料研究社
    ¥ 3,024

     
    会場
    会期
    2015年10月17日(土)~2016年1月31日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:00(入館16:30まで)
    休館日
    月曜日(ただし11月23日、 1月11日は開館)、12月29日(火曜)~1月3日(日曜)
    住所
    神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53
    電話 0467-22-5000
    公式サイト http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2015/kamakura_part3/
    料金
    一般1,000円(団体900円)
    20歳未満・学生850円(団体750円)
    65歳以上500円
    高校生100円

    ※団体料金は20名様以上から適用されます。
    ※鎌倉館の観覧券で当日に限り、鎌倉別館の展覧会を無料でご観覧いただけます。
    ※中学生以下、および障害者手帳をお持ちの方は無料です。
    その他の割引につきましてはお問い合わせください。
    ※「ファミリー・コミュニケーションの日」
    毎月第1日曜日(今回は11月1日、12月6日)は、18歳未満のお子様連れのご家族は優待料金(65歳以上の方を除く)でご観覧いただけます。

    無料開館日
    11月3日(火曜・祝日)「文化の日」は、神奈川県立近代美術館で開催中の展覧会を無料でご観覧いただけます。
    展覧会詳細 鎌倉からはじまった。1951-2016 PART 3: 1951-1965 鎌倉近代美術館 誕生 詳細情報
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