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    レポート
    リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展
    Bunkamura ザ・ミュージアム | 東京都
    リバプール国立美術館の傑作、大挙来日
    ラファエル前派の傑作を有する美術館として知られるリバプール国立美術館の所蔵品から、ラファエル前派及びその継承者たちの作品がまとめて来日。全国巡回展の3会場目は、Bunkamura ザ・ミュージアムです。
    (左から)ジョージ・オーウェン・ウイン・アパリー《プロクリスの死》 / アーサー・ハッカー《ペラジアとフィラモン》
    (左から)ジョン・エヴァレット・ミレイ《いにしえの夢 ─ 浅瀬を渡るイサンブラス卿》 / ジョン・エヴァレット・ミレイ《いにしえの夢 ─ 浅瀬を渡るイサンブラス卿》のバージョン
    (左から)ジョン・エヴァレット・ミレイ《ブラック・ブランズウィッカーズの兵士》 / ジョン・エヴァレット・ミレイ《春(林檎の花咲く頃)》
    (左から)ダニエル・マクリース《祈りの後のマデライン》 / フォード・マドックス・ブラウン《花束》
    (左から)ジョン・エヴァレット・ミレイ《良い決心》 / ジョン・エヴァレット・ミレイ《巣》
    (左から)ローレンス・アルマ=タデマ《打ち明け話》 / ローレンス・アルマ=タデマ《美しさの盛りに》
    (左から)アルバート・ジョゼフ・ムーア《夏の夜》 / フレデリック・レイトン《プサマテー》
    (左から)チャールズ・エドワード・ペルジーニ《シャクヤクの花》 / チャールズ・エドワード・ペルジーニ《ドルチェ・ファール・ニエンテ(甘美なる無為)》
    (左から)ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《デカメロン》 / ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《エコーとナルキッソス》
    19世紀後半に起こった、形骸化したアカデミック絵画への反発。その動きはフランスでは印象派が生まれたのに対し、イギリスはラファエル前派というかたちで表面化しました。

    第1章は「ヴィクトリア朝のロマン主義者たち」。ラファエル前派創始者のひとり、ジョン・エヴァレット・ミレイは、画業初期の貴重な作品も含め、本展最多の8作品が出展されています。

    薄明りが差す自室で髪とく美しい少女は、ダニエル・マクリースの《祈りの後のマデライン》。文学(同時代の詩)を題材にした作品で、クローゼットの中に決死の覚悟で忍び込んだ恋人のポーフィロが隠れている場面です。


    第1章「ヴィクトリア朝のロマン主義者たち」

    2章は「古代世界を描いた画家たち」。ヴィクトリア朝の人々は自らを古代ローマから繋がる後継者と見なしていた事もあり、古典的な世界を題材にした絵画は好んで描かれました。

    アーサー・ハッカーの《ペラジアとフィラモン》は、歴史小説に基づいた作品。死を目前にした裸の女性、見つめる僧衣の男は彼女の兄、遠方には不吉なハゲタカの姿も見えます。1887年に発表され、熱狂的に受け入れられた作品です。


    第2章「古代世界を描いた画家たち」

    3章は「戸外の情景」。この章は作品数が多くありませんが、巣とその中身に執着したため「鳥の巣のハント」と呼ばれたウィリアム・ヘンリー・ハントの作品などが紹介されています(ウィリアム・ホルマン・ハントとは別人です)。


    第3章「戸外の情景」

    最後の第4章は「19世紀後半の象徴主義者たち」。後期ヴィクトリア朝に入ると、エドワード・バーン・ジョーンズを中心とした「ラファエル前派第二世代」らが活躍。さらに時代が進むと、ラファエル前派の画家たちとの直接の関係性はないものの、その流れを継承する作家も活動をはじめます。

    ラファエル前派の画家たちが没した後の追討展で見た作品に感化されたのが、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス。神話を題材にした格調高い作品で、ラファエル前派の復興者とみなされています。展覧会のメインビジュアルでもある《デカメロン》を含め、会場後半で3点並んで紹介されています。


    第4章「19世紀後半の象徴主義者たち」

    「自然に忠実に」の標語のもとで活動したラファエル前派。グループとしての活動は短い期間でしたが、その精神は後年も支持され、やがて象徴主義という大河に繋がっていきました。

    東京展の後は、2016年3月18日(金)~5月8日(日)に山口県立美術館に巡回します(山口展が最終会場です)。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年12月21日 ]

    ※2月11日(木)は先着50名様にポストカードプレゼント、2月14日(日)は先着50組100名様クリアファイルプレゼントもあります。


    料金一般当日:1,550円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■英国の夢 ラファエル前派展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2015年12月22日(火)~2016年3月6日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00迄) ※入館は各閉館の30分前まで
    休館日
    1/1(金・祝)・1/25(月)休館
    住所
    東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_raffaello/
    料金
    一般 1,500(1,300)円/大学・高校生 1,000(800)円/中学・小学生 700(500)円
    ◎団体は20名様以上。電話でのご予約をお願いいたします(申込み先:Bunkamura Tel. 03-3477-9413)
    ◎学生券をお求めの場合は、学生証のご提示をお願いいたします。(小学生は除く)
    ◎障害者手帳のご提示で割引料金あり。詳細は窓口でお尋ねください。
    展覧会詳細 リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展 詳細情報
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