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    レポート
    ほとけの教え、とこしえに。 仏教絵画名品
    根津美術館 | 東京都
    如来の表現を中心に
    インドの王子ゴータマ・シッダールダが、悟りに至った事で始まった仏教。「如来」は悟りを得たものを意味し、仏教の広まりとともにさまざまな形で表現されるようになりました。如来を中心に仏教絵画の優品を紹介する企画展が、根津美術館で開催中です。
    《千体仏図》常盤山文庫 / 重要文化財《法相曼荼羅》根津美術館 / 《兜率天曼荼羅》根津美術館
    重要文化財《絵過去現在因果経》良盛筆 住吉慶忍・聖衆丸画 根津美術館
    《釈迦三尊像》 / 《仏涅槃図》 ともに根津美術館
    《当麻曼荼羅縁起絵巻 模本》冷泉為恭筆 根津美術館
    《山越阿弥陀図》 / 《阿弥陀三尊来迎図》 / 《阿弥陀三尊来迎図》 いずれも根津美術館
    重要文化財《金剛界八十一尊曼荼羅》 / 《両界曼荼羅》 / 重要文化財《大日如来像》 いずれも根津美術館
    《経筒》根津美術館
    《十三仏来迎図》 / 《諸尊来迎図》 ともに根津美術館
    重要美術品《釈迦三尊十六羅漢像》常盤山文庫
    悟りを開く前が菩薩、開いた後が如来。知恵が満ちているため頭が盛り上がり(肉髻:にっけい)、髪はパンチパーマ風(螺髪:らはつ)、衣は質素で装飾は無し(ただし大日如来は冠を被っています)が、如来の基本形です。

    展示作品は28件。やや少なく感じられるかもしれませんが、全19幅の《釈迦三尊十六羅漢像》もあり、ボリューム感は申し分ありません。

    まず最初は、釈迦の生涯を描いた重要文化財《絵過去現在因果経》。絵因果経の歴史は古く、今回の作品は鎌倉時代の作ですが、絵は奈良時代から伝わる古風な様式で描かれています。


    重要文化財《絵過去現在因果経》良盛筆 住吉慶忍・聖衆丸画 根津美術館

    悟りを開いた釈迦は80歳で亡くなりましたが、その模様を描いたのが《仏涅槃図》です。周囲に悲しむ弟子や動物たちがいて、象は裏返しになって嘆いています。雲の上からは、すでに亡くなった釈迦の母・摩耶夫人も駆けつけています。

    人間としての釈迦は亡くなっても、釈迦如来は存在の永遠です。獅子に乗る文殊菩薩と、白い象に乗る普賢菩薩を従えた《釈迦三尊像》は、釈迦如来の表現では定番のスタイルです。


    《仏涅槃図》と《釈迦三尊像》

    展覧会のメインビジュアルは《兜率天曼荼羅》。56億7千万年後にこの世に現れて如来になる弥勒菩薩が、その機会がくるのを兜率天(とそつてん)で待っている場面です。

    全体が爽やかな緑色。斜め上から描いた構図も特徴的で、弥勒菩薩が絵の中心から外れているのは仏画としては極めて珍しく、兜率天を描いた作品としては大阪・延命寺本と本作の2例しか確認されていません。

    やや痛みが見られるため、斜めの台に載せて展示されていますが、おかげで作品の下部はケース前方に近寄っています。細部までお楽しみください。


    《兜率天曼荼羅》根津美術館

    展示室2では常盤山文庫が所蔵する《釈迦三尊十六羅漢像》を展示。十六羅漢+釈迦三尊の19幅が揃っている、貴重な作例です。

    神通力を操る、16人の羅漢たち。人を超えた存在ですが、その所作にはユーモラスな一面も見受けられます。


    重要美術品《釈迦三尊十六羅漢像》常盤山文庫

    同時開催のテーマ展は、展示室5で明治天皇の第六皇女、常宮昌子内親王ゆかりの雛人形と雛道具を展示する「旧竹田宮家のおひなさま」。展示室6ではいつものように季節にちなんだ茶道具の取り合わせを紹介、今回は「春情の茶の湯」です。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年2月26日 ]

    仏画入門仏画入門

    山田 美和 (著), 堀内 伸二 (解説)

    春秋社
    ¥ 2,000

     
    会場
    会期
    2016年2月27日(土)~3月31日(木)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は16:30まで)
    休館日
    月曜日 ただし3/21(月・祝)は開館し、翌1/22(火)は休館
    住所
    東京都港区南青山6-5-1
    電話 03-3400-2536
    公式サイト http://www.nezu-muse.or.jp/
    料金
    一般 1,000円、学生(高校生以上) 800円、中学生以下無料
    展覧会詳細 ほとけの教え、とこしえに。 仏教絵画名品 詳細情報
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