2004年から開催され今回で5回目となる「六本木クロッシング展」シリーズ。
前回(2013年)もこの項でご紹介しました。
今回は20組のアーティストの作品が出展中。気になった作品をいくつかご紹介したいと思います。
会場の最初に展示されているのは、毛利悠子(1980-)。日用品を組み合わせて、不思議な動きをするインスタレーション作品です。じっと見ていると足元の毛ばたきが時折ピクっと動き、びっくりします。
毛利悠子《From A》2015-2016年 展示風景公式図録の表紙は、片山真理(1987-)の作品。「六本木クロッシング2016展」のテーマである「僕の身体、あなたの声」に最もフィットする作品です。
生まれつき歩行が困難で、9歳で両足を切断した片山。手縫いの等身大オブジェと、オブジェも用いた新作のセルフポートレートを出展。自分の身体に向けられた客観的な視線は、鑑賞する側をたじろがせるほど鋭利です。
片山真理 展示風景鑑賞者が参加するゲームのような作品《笑う祭壇》を出展したのは、野村和弘(1958-)。鑑賞者は用意されている大小さまざまのボタンを手に取り、円筒状の標的に向かって投げ、上の小皿のような部分に乗せる事を目指します。特に関連性はありませんが、神社の鳥居に小石を投げて乗せる行為が頭に浮かびます。
野村和弘《笑う祭壇》2015年 展示風景ベルリンを拠点に活動するナイル・ケティング(1989-)は、環境やエネルギー問題などをテーマに活動しています。《Magnitude》はビデオ、サウンド、照明、オブジェ、テキストなどを組み合わせたインスタレーション作品。エディソンによる電球の発明や、架空の魔法使いのイメージなどが登場します。
ナイル・ケティング《Magnitude》2016年 展示風景長谷川愛(1979-)は、いかにも現代的なテーマの作品。最新のバイオテクノロジーによって、同性のカップルが双方の遺伝子を継いだ「実子」を作る、というストーリーに基づいています。遺伝学的にも実現の可能性は高まっていますが、倫理的に許されるのか。家族や人の未来について、アート作品として切り込みます。
長谷川愛《(不)可能な子供》2015-2016年 展示風景土日には出展アーティストが会場で自作について語る特別企画も実施中です。スケジュールなどは
公式サイトでご確認ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年3月25日 ]■六本木クロッシング2016展 に関するツイート