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    レポート
    北大路魯山人の美 和食の天才
    三井記念美術館 | 東京都
    器は料理の着物
    篆刻から文筆まで、多彩な分野で活躍した北大路魯山人(1883-1959)。特に料理と器では非凡な才能を発揮しました。和食と器の魅力を追及した魯山人の巡回展が、三井記念美術館で開催中です。
    《青織部籠形花器》昭和25年(1950)頃 足立美術館
    《絵瀬戸草虫文壺》昭和27年(1952) 北村美術館
    (左から)《伊賀釉鮑形大鉢》昭和16年(1941) 個人蔵 / 《絵瀬戸風手桶花入》昭和25年(1950) 銀座 久兵衛 / 《織部瓢形水入》昭和15年(1940)頃 足立美術館 / 《織部土瓶》昭和2年(1927)頃 個人蔵
    (左から)《赤絵金欄手向付》5客 昭和13年(1938)頃 東京国立近代美術館 / 《金襴手蓋物》10客 昭和15年(1940)頃 足立美術館
    (左から)《漆膳「露堂々」》2客 昭和12年(1937) 個人蔵 / 《織部扇面形鉢》昭和15年(1940)頃 足立美術館
    《雲錦大鉢》 昭和15年(1940)頃 世田谷美術館(塩田コレクション)
    《一閑塗日月椀》5客 昭和18(1943)年 個人蔵
    《銀地色ねじ文大平椀》10客 昭和19年(1944)頃 京都国立近代美術館
    (左から)《つり燈籠》昭和5年(1930)頃 足立美術館 / 《信楽灰被大壺》昭和32年(1957) 神奈川県立近代美術館
    長じては傲岸不遜な態度が目立った北大路魯山人(本名・房次郎)ですが、その生い立ちは激烈。母の不貞で出来た子どものため、誕生前に父が割腹自殺。里子に出された先では厳しい虐待も受けています。

    12歳の時に京都で開かれた第4回内国勧業博覧会で、竹内栖鳳の絵に感銘を受けて芸術の道へ。当初は版下書き、看板製作、書や篆刻などを生業としていました。

    魯山人の運命を変えたのが、素封家・河路豊吉との出会い。魯山人の才能を見抜いた河路のもとで豪奢な気風を身に着け、食器と美食に対する見識を深めていきました。



    陶芸家としての魯山人までの道のりを辿ると、食通で目利き → 古美術商として開店 → 骨董で客に食事を提供 → 大評判になって骨董が足りない → 器も自分で創作へ、という流れです。

    作陶は40歳からという遅いスタートですが、妥協を許さない性格で熱心に古陶器を研究。織部、黄瀬戸、絵瀬戸、伊賀、染付、金銀彩、色絵など、自分の美意識にかなうものは次々に取り入れていきました。



    ピカソを罵倒する、有名フランス料理店にわさび醤油を持参するなど、傲慢すぎるエピソードも数多く伝わる魯山人。自らが顧問兼料理長として中心的に運営していた料亭「星岡茶寮」からも解雇されるなど敵が多い人物でしたが、芸術家としての腕は確かでした。

    物資統制もあって戦時中は休んでいた作陶を、戦後に再開。米国でも展覧会を開催し、作品はMoMA(ニューヨーク近代美術館)にも所蔵されています。

    1959(昭和34)年には人間国宝の打診を受けるも、辞退。民芸との軋轢など諸説ありますが、はっきりした理由は分かっていません。



    「器は料理の着物」として、食と器に挑んだ魯山人。美術館なので料理をのせて出すわけにはいかないのが残念ですが、和食の奥深さをたっぷりと目で楽しめる展覧会です。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年4月11日 ]

    夢境 北大路魯山人の作品と軌跡夢境 北大路魯山人の作品と軌跡

    山田 和 (著)

    淡交社
    ¥ 6,480


    ■北大路魯山人の美 和食の天才 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年4月12日(火)~6月26日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は16:00まで)
    休館日
    月曜日休館 ただし5月2日(月)は開館
    住所
    東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階
    電話 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.mitsui-museum.jp/
    料金
    一般 1,300(1,100)円/大学・高校生 800(700)円/中学生以下無料
    ※()内は20名以上の団体料金
    ※70歳以上の方(要証明)は1,000円
    展覧会詳細 北大路魯山人の美 和食の天才 詳細情報
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