リニューアルで常設展の6カ所に新しい展示が登場。ここでは特徴的な2つの新展示をご紹介しましょう。
「未来逆算思考」は3階に新設。50年後の地球に暮らす私たちの子孫に、どのような地球を贈るのか。理想の未来像を思い描いて、そこから現在に遡る「バックキャスティング」という思考法をゲーム形式にした展示です。
まず「芸術文化に満ちあふれた地球」「誰もが健康でいられる地球」など、8つの目標から1つをセレクト。未来への道すじを設定して送ると、さまざまな障害が行く手を妨げます。ゲームの最後には、未来に暮らす子孫からの手紙や、研究者からのメッセージを読む事ができます。
「未来逆算思考」5階に設けられた新展示が「100億人でサバイバル」。大きな自然災害をはじめ、感染症や異常気象、原発事故などさまざまなハザード(危険)から身を守る事を考える展示。もちろん東日本大震災の経験を踏まえた展示ですが、奇しくも熊本で大地震が発生した事で、日常の生活に近い事象として捉えられる事となりました。
中央では、大小のボールの動きで地球のシステムと人間社会との繋がりを可視化して提示。エネルギーが移動する事で地球のバランスが保たれている一方で、その過程が自然災害の元に。さらに科学技術の発達によって新たなハザードが生まれている事も示されます。
「100億人でサバイバル」常設展示は、3階が「未来をつくる」、5階が「世界をさぐる」ですが、それぞれ入口部にはミライゲート/セカイゲートも設置。著名人などによる「問い → 考え → 行動」の3ステップが示されます。映像が流れる湾曲したスクリーンは、実は椅子としての利用も可。座って記念撮影にお使いください。
大きな地球儀、ジオ・コスモスの脇を渡るオーバルブリッジには、「ジオ・プリズム」も設置。AR使って、ジオ・コスモスにデータなどを重ねて表示できます。「ジオ・コスモスに触ってみたい」という声に応えた試みです。
人気のヒューマノイドロボット「ASIMO(アシモ)」も、ジオ・コスモスの近くに移動。実演は1日4回です(都合により変更や中止の場合もあります)。
ミライゲート/セカイゲートなども新設「体験型ではなく、経験型の構成とした」(日本科学未来館展示企画課の内田まほろ課長)という今回のリニューアル。科学コミュニケーターやボランティアとも積極的にコミュニケーションをとることで、より充実した時間が過ごせると思います。
なお、リニューアルにあわせてスマートフォン公式アプリ「Miraikanノート」の配信も開始(無料)。示されたモデルコースをクリアすると、ARを使った記念撮影も可能です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年4月19日 ]■日本科学未来館 に関するツイート