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    レポート
    鈴木其一 江戸琳派の旗手
    サントリー美術館 | 東京都
    圧巻の《朝顔図屏風》
    京都で琳派が生まれて400年。大きく分けると、前半200年は京都、後半は江戸が創作の中心地でした。酒井抱一が江戸で再興した琳派を、類まれなるセンスとデザイン力で大きく昇華させたのが鈴木其一(すずききいつ 1796-1858)。初の大回顧展がサントリー美術館で開催中です。
    (左から)鈴木其一《富士千鳥筑波白鷺図屛風》個人蔵[展示期間終了] / 鈴木其一《朝顔図屛風》メトロポリタン美術館蔵
    (左から)酒井抱一 画、亀田綾瀬 賛《桜に小禽図》細見美術館蔵 / 酒井抱一《白蓮図》細見美術館蔵 / 鈴木蠣潭《大黒天図》個人蔵 [全て展示期間終了]
    (左から)鈴木其一《群鶴図屛風》ファインバーグ・コレクション / 鈴木其一《青楓に小禽図》個人蔵[展示期間終了]
    (左奥から)鈴木其一《水辺家鴨図屛風》細見美術館蔵 / 鈴木其一《萩月図襖》東京富士美術館蔵 [全て展示期間終了]
    (左奥から)鈴木其一《群禽図》 / 鈴木其一《芒野図屛風》千葉市美術館蔵 [全て展示期間終了]
    (左前から)鈴木其一《虚空蔵菩薩像》ファインバーグ・コレクション / 鈴木其一《三十六歌仙図》出光美術館蔵 / 鈴木其一《夏宵月に水鶏図》 [全て展示期間終了]
    (左手前から)鈴木其一《十二ヶ月花木図短冊》 / 鈴木其一《鏡餅と鼠図扇面》鴻池合資会社資料室蔵 / 鈴木其一《・銀杏図扇・桜》 [全て展示期間終了]
    (左奥から)鈴木其一《白菊に水仙図》細見美術館蔵 / 鈴木其一《白衣観音像》個人蔵 / 鈴木其一《内裏雛に雅楽器図》個人蔵 [全て展示期間終了]
    (左奥から)鈴木其一 賛・画《飴売図》個人蔵 / 鈴木其一《三社図》洛東遺芳館蔵 / 鈴木其一《琵琶湖入江遠望図》個人蔵 [全て展示期間終了]
    1796年、紫染め職人の家に生まれた鈴木其一(1795年説も有り)。1つ年下が歌川広重、2つ下は歌川国芳と浮世絵界にもスターが揃っていますが酒井抱一が再興して洗練度を高めた江戸琳派も、大きく花開いていきました。

    酒井抱一の最も優れた弟子だったのが、鈴木其一です。華麗な琳派のスタイルを継承しつつも、その枠に留まらない自由な作風で独特の世界を築いていきました。

    会場は最初のフロアが序章~2章まで。師である抱一の作品から始まり、抱一門下時代の作品、抱一が没した後の作品へと進みます。

    高いデザイン性はどの作品からも感じる事ができますが、中でも「描表装(かきびょうそう)」はユニーク。掛け軸において、本絵ではない表装部分にも描いたもので、節句絵や草花図、物語絵などさまざまなジャンルで展開されました。


    序章~2章

    次のフロアは3章と4章(会場構成の関係で4章が先です)。家督を長男に譲ってからの晩年の作品と、酒井抱一門下で同門だった兄弟弟子や、其一の門下生として江戸琳派を後世に伝えた弟子たちの作品が紹介されています。

    本展最大の見ものが、メトロポリタン美術館が所蔵する《朝顔図屏風》。明らかに尾形光琳の《燕子花図屏風》(根津美術館蔵)を意識した作品で、光琳は直線的にカキツバタを配したのに対し、其一はうねるような曲線で朝顔をレイアウト。大小の葉を用いる事で、ダイナミックな奥行きも感じられます。

    其一が50歳を前に号したのが「菁々(せいせい)」。花が盛んな様子を表す「菁」に相応しく、晩年に入ってからも精力的に創作を続けましたが、1857年に突然死去。この年に大流行したコレラが原因でした。

    箱書で「画狂其一」と自称していた其一。もうひとりの画狂、葛飾北斎は90歳(数え)没でしたが、其一は63歳没。あと27年生きたら、日本の美術史は変わっていたかもしれません。


    3章~4章

    サントリー美術館での展覧会は10月いっぱい。会期中に何度か展示替えがあり、ご紹介している作品の中には展示されていないものもありますのでご注意ください(《朝顔図屏風》は東京展のみ、全期間展示されます)。

    東京展の後は兵庫と京都に巡回。会期と会場はこちらでご紹介しています。[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年9月9日 ]

    鈴木其一 ─ 琳派を超えた異才鈴木其一 ─ 琳派を超えた異才

    河野 元昭 (著)

    東京美術
    ¥ 3,024


    ■鈴木其一 江戸琳派の旗手 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年9月10日(土)~10月30日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    休館日
    火曜
    住所
    東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F
    電話 03-3479-8600
    公式サイト http://suntory.jp/SMA/
    料金
    一般 1,300円、大学・高校生 1,000円、中学生以下無料
    展覧会詳細 鈴木其一 江戸琳派の旗手 詳細情報
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