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    レポート
    マリー・アントワネット展 美術品が語るフランス王妃の真実
    森アーツセンターギャラリー | 東京都
    ヴェルサイユ宮殿の監修で、激動の生涯を総覧
    オーストリアからフランスに嫁ぎ、革命の波にのまれて断頭台の露と消えたマリー・アントワネット(1755-1793)。激動の生涯は、日本でも漫画や演劇でもお馴染みです。マリー・アントワネットが暮らしたヴェルサイユ宮殿が企画・監修した大規模な展覧会が、森アーツセンターギャラリーで開催中です。
    (左から)ウジェーヌ・バタイユ(アドルフ・ユルリク・ヴァットムッレルの原作に基づく)《トリアノンの庭園のマリー・アントワネットとマダム・ロワイヤルと王子》 / ルイ=シモン・ボワゾ《神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世》 ともにヴェルサイユ宮殿美術館
    (左から)マルティン・ファン・マイテンス(子)《1755年の皇帝一家の肖像》ヴェルサイユ宮殿美術館 / フランツ・クサーヴァー・ヴァーゲンシェーン《チェンバロを弾くオーストリア皇女マリー・アントワネット》ウィーン美術史美術館
    (左から)ジョゼフ・シフレ・デュプレシ《ルイ16世》ヴェルサイユ宮殿美術館 / エリザベト=ルイーズ・ ヴィジェ・ル・ブラン《王妃 マリー・アントワネット》ブルトゥイユ城
    「浴室」
    (左から)エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン《エリザベト・フィリッピーヌ・マリー・エレーヌ、ルイ16世の妹、通称マダム・エリザベト》ヴェルサイユ宮殿美術館 / エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン《ゴール・ドレスを着たマリー・アントワネット》ワシントン・ナショナル・ギャラリー
    (左から)ピュルマ社(シャルル・オーギュスト・べメールとポール・バッサンジュの原作に基づく)《王妃の首飾りの複製》 / アドルフ・ユルリク・ヴァットムッレル《乗馬服を着たマリー・アントワネット》 / エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン《白いペチコートに青いマントを羽織って座るマリー・アントワネット》 すべてヴェルサイユ宮殿美術館
    (左から)二コラ・ジャン=パティスト・ラグネ《オルセー河岸からみたチェイルリー宮殿》 / シャルル・テヴナン《シャン=ド=マルスの連盟祭 1790年7月14日》 ともにカルナヴァレ・パリ歴史美術館
    ピエール=フランソワ・バロワ《バスティーユ監獄のミニチュア模型》ヴェルサイユ宮殿美術館(イヴリーヌ県公文書館より寄託)
    (左から)ウィリアム・ハミルトン《1793年10月16日、死刑に処されるマリー・アントワネット》フランス革命美術館 / アントワーヌ・ジャン・デュクロとイジドール・スタニスラス・エルマン、シャルル・モネの原画に基づく《1793年10月16日の事件、マリー・アントワネットの処刑》ヴェルサイユ宮殿美術館
    ハプスブルク=ロレーヌ家の皇帝フランツ1世と大公マリア・テレジアの15番目の子として生まれたマリー・アントワネット。嫁ぎ先として選ばれたのは、フランス国王ルイ15世の孫ルイ・オーギュスト、後のルイ16世(1754-1793)です。

    魅力的ではあったものの真面目ではなかったマリー・アントワネットに対し、マリア・テレジアはフランス人俳優や神父を使って徹底的に教育。フランス語や文学はもちろん音楽、詩、舞踏、素描まで教え込まれました。


    会場は年代順、最初はオーストリア時代です

    ふたりは1770年に結婚。美しいマリー・アントワネットは宮廷で評判になりましたが、不真面目な態度は相変わらずでした。

    ルイ15世の死去にともない、ルイ16世は20歳で即位。マリー・アントワネットは19歳でした。ルイ16世の王位継承から4年後に女児が誕生、その3年後についに男児を出産した事で、マリー・アントワネットの地位は磐石なものとなっていきます。

    流行の服とアクセサリーを見事に着こなしたマリー・アントワネット。上流階級のファッションリーダーとしてもてはやされる一方で、庶民は反発を強めていきます。


    美しく着飾った肖像などが並びます

    展覧会の注目のひとつが、空間展示。マリー・アントワネットのプライベート空間である、ヴェルサイユ宮殿の「プチ・アパルトマン」が、壁の装飾なども含めて原寸大で忠実に再現されました。

    プチ・アパルトマンは長女を出産したマリー・アントワネットが子供部屋の近くに設けた浴室・図書室・居室の3室で、当時使われていたベッド、椅子、同時代の浴槽などを設置。図書室は残っていないため、かつての設計図などをもとにクリエイティブカンパニーNAKEDがバーチャルリアリティで再現しました。


    原寸大の空間展示

    マリー・アントワネットがこよなく愛したのが、私的な邸宅であるプチ・トリアノン。夫から与えられたこの離宮で、古い宮廷のしきたりに囚われることなく、マリー・アントワネットは独自の決まりごとを設けて、大胆なファッションを満喫しました。

    数人の忠実な友人のために舞踏会やバレエを催すなど、浪費を重ねたマリー・アントワネット。そしていよいよ、悲劇が彼女を襲うのです。


    「王妃の私的な離宮:トリアノン」

    王家の名を語った詐欺である、首飾り事件。この事件とマリー・アントワネットは無関係でしたが「浪費家の王妃」というイメージは決定的なものとなります。

    革命が勃発、逃亡に失敗したルイ16世一家はヴァレンヌで捕らえられ、タンプル塔に幽閉。革命裁判を経て1793年1月にルイ16世が、10月にマリー・アントワネットは処刑されました。会場には処刑台に上った時にマリー・アントワネットが履いていたとされる靴も展示されています。


    首飾り事件から処刑まで

    実在の人物ながら、物語のような運命をたどったマリー・アントワネット。王妃が愛用した食器や漆器なども展示されていますので、その人となりを思い浮かべながらお楽しみいただけると思います。巡回はなく、東京だけでの開催です。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年10月24日 ]



    ■マリー・アントワネット展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年10月25日(火)~2017年2月26日(日)
    会期終了
    開館時間
    ※展覧会によって異なります。
    休館日
    会期中無休
    住所
    東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.ntv.co.jp/marie/
    料金
    一般 1,800(1,600)円/大学・高校生 1,200(1,000)円/中学・小学生 600(400)円
    ※()内は前売料金及び15名以上の団体料金
    ※各種企画チケットは公式HPを参照してください
    展覧会詳細 マリー・アントワネット展 美術品が語るフランス王妃の真実 詳細情報
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