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    レポート
    岩﨑家のお雛さまと御所人形
    静嘉堂文庫美術館 | 東京都
    超豪華な雛人形、奇跡の里帰り
    三菱第4代社長の岩﨑小彌太(1879-1945)が孝子夫人のために特別につくらせた「岩崎家雛人形」。京人形の名工が手掛けた豪華な雛人形は、戦後に散逸していましたが、このたび、15体がまとまって静嘉堂に寄贈されました。お披露目を兼ねた展覧会が、静嘉堂文庫美術館で開催中です。
    五世大木平藏《岩﨑家雛人形》のうち「内裏雛」
    五世大木平藏《岩﨑家雛人形》のうち「三人官女」
    五世大木平藏《岩﨑家雛人形》のうち「五人囃子」
    五世大木平藏《岩﨑家雛人形》のうち「随身」
    五世大木平藏《岩﨑家雛人形》のうち「仕丁」
    五世大木平藏《岩﨑家雛道具》
    (左から)三世または四世大木平藏《内裏雛》 / 《内裏雛》(京雛)
    五世大木平藏《木彫彩色御所人形》のうち「輿行列」
    (左から)二代永徳齋《神武帝》 / 《武者人形(腰掛大将)》

    岩﨑小彌太の邸宅で大切に飾られていた《岩崎家雛人形》。戦後の混乱期に岩崎家を離れ、三人官女は京都へ、五人囃子は中国地方へと、文字通り各地に散逸していました。


    数奇な運命を経て、岩崎家ゆかりの静嘉堂に戻ってきたのは、ひとりのコレクターの情熱があったからこそ。内裏雛に出会った桐村喜世美氏がその美しさに心をうたれ、方々に声をかけて熱心に蒐集。ついに15体全てを揃え、このほど、静嘉堂に寄贈されました。


    人形を作ったのは、京人形司の老舗 「丸平大木人形店」の五世大木平藏。小彌太から「他にはない雛人形を」と依頼され、約3年の歳月をかけて作り上げました。ちなみに代金は2万円。現在なら、1億~2億円ほどという衝撃プライスです。


    では、あらためて《岩﨑家雛人形》をご紹介しましょう。内裏雛は、丸い顔で幼児のような愛らしい姿。男雛の装束から、皇太子と妃の御成婚を模した姿という事が分かります。内裏雛は足に関節がある「三つ折れ」で、立たせる事も可能です。


    注意して見ていただきたいのが、五人囃子。左の二人は、演奏に力が入る「大革(大皮)」と「太鼓」なので、顔色が若干赤くなっています。


    随身(左大臣・右大臣)は虎皮の敷物に座っていますが、なんと虎柄の模様は毛植え細工。衣装をめくらないと見えない敷物まで、全く隙がありません。


    会場奥には雛道具も。ただ、以前の写真にある道具で見つかっていないものも、いくつかあります。今後の調査も待たれます。



    展覧会もうひとつの注目が、おなじく五世大木平藏による《木彫彩色御所人形》。こちらは、小彌太の還暦祝いのために、孝子夫人が誂えさせました。


    七福神を中心に、日本の童子や唐子たちが楽しげに行列。卯年生まれの小彌太にちなんで、宝船には兎、人形も兎形の冠を戴いています。細かな凸凹も全て木彫りしたうえで、彩色しています。。


    会場では他にも、桐村氏の寄贈品と岩崎家旧蔵の人形から、個性的な品々を展示。勇壮な五月人形は、神武天皇をあらわしたもの。巨大な犬筥(いぬばこ)は魔除け・夫婦和合の象徴です。


    学芸が充実して、新年度はパワーアップする静嘉堂文庫美術館。従来は年に4回の企画展でしたが、2019年度から年5回になります。年間の予定はこちらです。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年1月28日 ]


    日経おとなのOFF 2019年 1月号日経おとなのOFF 2019年 1月号

    日本経済新聞社(編)

    日経BP社
    ¥ 820

    会場
    会期
    2019年1月29日(火)~3月24日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00-17:00(金曜日は10:00-18:00)※入館は閉館の30分前まで。
    休館日
    月曜日(2月11日は開館)、2月12日(火)
    住所
    東京都世田谷区岡本2-23-1
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.seikado.or.jp/
    料金
    一般1,000円、大高生700円、中学生以下無料
    ※団体割引は20名以上
    ※リピーター割引:会期中に本展示の入館券をご提示いただけますと、2回目以降は200円引きとなります。
    ※本展会期中、「三井記念美術館との相互割引」があります。
    展覧会詳細 岩﨑家のお雛さまと御所人形 詳細情報
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