今年の春は例年にない寒波で、桜の開花が遅れ気味。ひとあし早く、山種美術館には満開の桜の作品が揃いました。


第三章「桜を描く」

展覧会は「名所の桜」「桜を愛でる」「桜を描く」の三章。桜の作品とともに、桜を題材にした和歌や俳句、画家たちの言葉も添えて紹介されています。


《嵐山の春》冨田溪仙

目玉のひとつは、冨田溪仙の屏風《嵐山の春》。山種美術館では所蔵する美術品を随時修復していますが、《嵐山の春》は修復を終え、15年ぶりの公開となります。


《春風春水》川合玉堂

風景画の中に、人々の営みが描かれることが多い川合玉堂の作品。この《春風春水》も、船の上には表情豊かな女性が描かれています。


《桜に雀》渡辺省亭

渡辺省亭は知名度は高くない日本画家ですが、パリ万国博覧会での受賞を期に渡欧した、日本画家として初めて洋行留学した人物です。

花鳥画を得意とした省亭、この作品は《月に千鳥・桜に雀・紅葉に小鳥》のうちの一点。抑え気味の桜の花と、特徴を良くとらえた雀の写実的な表現は見事です。

ミュージアムショップでも桜がモチーフのグッズをご用意。オススメはマグネット式のフラワーカードスタンド「桜」(840円)、プレゼントにもよさそうです。
[ 取材・撮影・文：古川幹夫 ／ 2012年4月2日 ]