土地は五島慶太翁が自邸の一部を提供し、建物は吉田五十八が設計した
五島美術館。今回が初の本格的な大改修となります。
建物は増床されましたが、王朝風寝殿造の外観は活かされました。「朽木文様」「松皮菱」など平安時代の意匠はリニューアル後も取り入れられ、「吉田五十八がリニューアルしてもこうなっただろう」というほど、良い意味で今までの風情が保たれています。
最大のネックであった空調設備をはじめ、館内設備は刷新。展示室の照明も高性能のLEDに代わり、学芸員が自由に色温度や照度を変更できるようになりました。
五島美術館が所有している自慢の書跡や絵画も、ぐっと見やすくなっています。
壁面展示ケースの絵画など来館側としては、大きなポイントが「展示室2」の新設です。
これまでの
五島美術館の展示室は1つだけ。実はこの展示室も280平方メートルと決して狭くは無かったのですが、「より多くの作品を見たい」という来館者の声も多く、今まで講堂だった部屋を展示室2に改修しました。
展示室2は窓に障子が入っており、柔らかな自然光を入れることも可能。ロールスクリーンを下ろせば完全遮光、逆に障子を開ければ中庭が見れるようにも使えるため、アイデア次第ではユニークな展示手法が取れそうです。
新設された「展示室2」新装開館記念名品展は「時代の美」。
五島美術館と大東急記念文庫の館蔵品(両者は休館中に合併して公益財団法人
五島美術館となりました)を、カテゴリ毎ではなく時代ごとに展示する、ありそうで無かった企画です。最初は第1部「奈良・平安編」で、五島美術館で最も良く知られている《国宝 源氏物語絵巻》も出品されます(展示は11月6日~18日まで)。
第1部「奈良・平安編」に続き、第2部は「鎌倉・室町編」(11月23日~12月24日)、第3部は「桃山・江戸編」(2013年1月5日~2月17日)、第4部は「中国・朝鮮編」(2013年2月23日~3月31日)と4弾に渡って開催されます。(取材:2012年10月17日)