フランスのボルドー美術館と、日本における最大のルドン・コレクションを所蔵する岐阜県美術館が全面協力した本展。3部による構成です。
第1部 幻想のふるさとボルドー ─ 夢と自然の発見
第2部 「黒」の画家 ─ 怪物たちの誕生
第3部 色彩のファンタジー
第1部では、若き日のルドンが出会った植物学者アルマン・クラヴォーの標本画も展示。これを事前に見ておくと、ルドンの摩訶不思議な絵画との距離も、少し縮まるように思えます。
また、実はルドンは風景画の小品も手がけており、少し意外に思える作品も紹介されています。
第1部 幻想のふるさとボルドー ─ 夢と自然の発見多くの人がイメージするルドンは、第2部の「黒」の画家の作品でしょう。
生涯で172点の石版画を制作したルドン。本展ではなかでももっともインパクトが強い初期の版画集を中心に紹介しています。
昨年、
三菱一号館美術館で紹介された作品も並びますが、何度見ても強烈なインパクトです。
第2部 「黒」の画家 ─ 怪物たちの誕生一転して明るい作品が並ぶ第3部。1890年頃から最晩年までの色彩作品です。
ルドンは、黒の石版画を描いていた時期から色彩の作品も手がけていましたが、晩年になると色彩の作品にのめりこんでいきます。
第3部 色彩のファンタジー展覧会の最後に展示されているのは、ルドンが1916年7月6日に亡くなった時に、イーゼルに載せられていた未完の作品《聖母》。
聖母はルドン作品に多く見られる横顔で描かれ、左側には広い空白が。この部分には何を描こうとしていたのでしょうか…
展覧会最後は、未完の作品《聖母》ルドンの全貌を展観する大規模な展覧会。本展の後には
静岡市美術館(2013年6月29日~8月25日)、
岐阜県美術館(2013年9月3日~10月27日)、
新潟市美術館(2013年11月2日~12月23日)に巡回します。(取材:2013年5月8日)