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    レポート
    和様の書
    東京国立博物館 | 東京都
    風土と文化が育んだ、わが国の書
    平安時代の中期。社会制度や文化面で和風化が進む中で、書の世界もわが国ならではの発展を遂げていきました。仮名と漢字が調和した「和様の書」の成立と展開を、東京国立博物館で展望します。
    会場入口
    「中国の書」と「和様の書」の比較
    手前は豊臣秀吉筆、奥は織田信長筆
    《色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿》尾形乾山作 江戸時代・18世紀 東京・出光美術館蔵 展示期間:~8月12日(月)
    国宝《手鑑 藻塩草》 奈良~室町時代・8~16世紀 京都国立博物館蔵 展示期間:~8月12日(月) 頁替あり
    会場
    国宝《舟橋蒔絵硯箱》本阿弥光悦作 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵 展示期間:~8月12日(月)
    《三十六歌仙帖》近衞信尹筆 安土桃山時代・16~17世紀 東京国立博物館蔵 展示期間:~8月18日(日)
    《いろは屛風》貫名菘翁筆 江戸時代・安政元年(1854) 個人蔵
    本展は5章構成。和様の書の名筆を一堂に集め、その魅力に迫ります。

     第1章 書の鑑賞
     第2章 仮名の成立と三跡
     第3章 信仰と書
     第4章 高野切と古筆
     第5章 世尊寺流と和様の展開


    会場

    まず最初の注目が、「天下人の書」。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の書が揃います。

    尊大で簡潔な信長の書、おおらかな筆致の秀吉の書、孫を気づかう祖父の姿が表れている家康の書。文面からは、それぞれの個性も伺えます。

    ちなみに、あまり紹介されていませんが、本展タイトルの「和様の書」の「の」は、豊臣秀吉が書いた文字が使われています。


    順に重要文化財《書状(与一郎宛)》織田信長筆 安土桃山時代・天正5年(1577) 東京・永青文庫蔵 展示期間:~8月12日(月)/重要美術品《吉野懐紙(豊臣秀吉和歌懐紙)》 安土桃山時代・文禄3年(1594) 宮城・仙台市博物館蔵 展示期間:~8月12日(月)/《消息(おね宛)》豊臣秀吉筆 安土桃山時代・文禄2年(1593) 京都・高台寺蔵 展示期間:~8月12日(月)/《消息(ちょほ宛)》徳川家康筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵 展示期間:~8月4日(日)

    「手鑑」(てかがみ)とは、手(筆跡)のアルバムのこと。鑑賞の対象になった古筆を、台帳のように編集したものです。

    現在、国宝に指定されている手鑑は4点のみ。本展では「四大手鑑」すべてが出展されています。


    国宝《手鑑 藻塩草》 奈良~室町時代・8~16世紀 京都国立博物館蔵 展示期間:~8月12日(月) 頁替あり

    和様の書が成立した時代に活躍した能書三人が三跡(さんせき)。小野道風(おののとうふう)、藤原佐理(ふじわらのさり)、藤原行成(ふじわらのこうぜい)です。

    展覧会では、三跡の書も全て展示。「王羲之の生まれ変わり」とまで称された道風、奔放で闊達な佐理、夢に見るほど道風に憧れていた行成。三人の書を比べて見るという贅沢な楽しみ方が可能です。


    順に重要文化財《常楽里閑居詩》小野道風筆 平安時代・10世紀 東京・前田育徳会蔵 展示期間:~7月28日(月)/国宝《円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書》小野道風筆 平安時代・延長5年(927) 東京国立博物館蔵/《玉泉帖》小野道風筆 平安時代・10世紀 宮内庁三の丸尚蔵館蔵 展示期間:~8月12日(月)

    展覧会の最後は、江戸時代までの書の展開について。

    文字が配された蒔絵の硯箱、大きな屏風に書かれた書なども展示。バラエティ豊かな構成なので、最後まで飽きさせません。


    会場

    出品作品156件の中で、86件が国宝・重要文化財という豪華な展覧会。本稿ではご紹介できませんでしたが、本年6月18日に世界記憶遺産に認定されたばかりの国宝《御堂関白記》藤原道長筆は認定後初公開となります。お見逃しなく。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年7月12日 ]

    和様の書 日本の美術 第519号

    島谷 弘幸 (著)

    ぎょうせい
    ¥ 1,850

    料金一般当日:1,500円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2013年7月13日(土)~9月8日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~18:00
    ※総合文化展は17:00まで
    ※時期により変動あり
    いずれも入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日休館 ただし7月15日(月祝)、8月12日(月)は開館、7月16日(火)は休館
    住所
    東京都台東区上野公園13-9
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://wayo2013.jp/
    料金
    一般 1,500(1,300/1,200)円/大学生 1,200(1,000/900)円/高校生 900(700/600)円
    ※()内は前売/20名以上の団体料金
    ※障害者とその介護者1名は無料(入館の際に障害者手帳などをご提示ください)
    ※前売券は7月12日まで 
    展覧会詳細 和様の書 詳細情報
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