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    レポート
    ジョセフ・クーデルカ展
    東京国立近代美術館 | 東京都
    初期から最新作まで、アジア初の回顧展
    世界で最も注目される写真家の一人、ジョセフ・クーデルカさん。東京国立近代美術館で大規模な回顧展が開催中です。
    5章「侵攻」
    2章「実験」
    3章「劇場」
    4章「ジプシーズ」
    会場
    7章「カオス」
    写真集『LIMESTONE(石灰岩)』 2001
    7章「カオス」
    内覧会で挨拶するジョセフ・クーデルカさん
    ジョセフ・クーデルカさんは1938年、チェコスロヴァキア生まれ。60年代初頭から写真を発表し、亡命後はイギリス、後にフランスを拠点に活躍。詩的でありながら独特の強さを持つその作品は、世界中で高い評価を得ています。

    東京国立近代美術館では以前にもクーデルカさんの作品を紹介したことがありますが、本格的な回顧展はアジアでも初めて。初期から最新作まで、その歩みを辿っていきます。


    会場冒頭から

    展覧会は7章構成。会場構成もクーデルカさん自身が担当しました。

     1章「初期作品」
     2章「実験」
     3章「劇場」
     4章「ジプシーズ」
     5章「侵攻」
     6章「エグザイルズ」
     7章「カオス」

    クーデルカさんの作品の中で最も写実性が高く、かつ一般に知られているのが5章「侵攻」です。

    チェコスロヴァキアにおれる政治改革運動「プラハの春」に対し、1968年8月、ワルシャワ条約機構軍が軍事介入。冷戦のさなかに起きた歴史的な大事件でした。

    クーデルカさんが撮影した写真は、侵攻の1年後に「匿名のチェコ写真家」の作品として発表。1969年度のロバートキャパ賞を受賞しました。


    5章「侵攻」

    展覧会後半では、亡命後の作品も紹介されます。最終章の「カオス」は、産業化によって荒廃した土地、地中海沿岸の古代ローマ遺跡群などをパノラマ・カメラで捉えました。

    特筆しておきたいのが、展覧会にあわせて制作されたクオリティの高い図録(2,200円)。豊富な写真は言うまでもありませんが、クーデルカさんへのインタビューが必見です。

    「私は流儀を変えたくなかった。そして生き延びようともがくことにも意義があるとも考えていた」「才能のある人たちのある者たちは、それが売り物になることに気づくやいなや、それを少しずつ金に換え始め、けっきょくは何も残らない」などなど、印象深い言葉が並びます。

    写真(というより人生そのもの)に対する真っ直ぐな姿勢は、チェコスロヴァキア生まれという出自に由来するものでしょうか。14歳で学業のために村を離れたクーデルカさんに、仕立屋だった父親はこう言って送り出したそうです。

    「行ってこい。そしておまえが何者であるか見せてこい。世界はおまえのものだ」

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年11月5日 ]

    ジョセフ・クーデルカ プラハ侵攻 1968

    ジョセフ・クーデルカ (著)

     
     

     
    会場
    会期
    2013年11月6日(水)~2014年1月13日(月)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は16:30まで)
    ※金曜・土曜は20:00まで開館(入館は19:30まで)
    休館日
    月曜日休館 ただし12月23日(月祝)、1月13日(月祝)は開館、12月24日(火)、12月28日(土)~1月1日(水祝)は休館
    住所
    東京都千代田区北の丸公園3-1
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.momat.go.jp/Honkan/koudelka2013/
    料金
    850(600)円/大学生450(250)円
    ※( )内は20名以上の団体料金、いずれも消費税込。
    ※高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
    展覧会詳細 ジョセフ・クーデルカ展 詳細情報
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