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    レポート
    桃山時代の狩野派 永徳の後継者たち
    京都国立博物館 | 京都府
    難局に挑んだ、狩野派の戦い
    約400年に渡って権力者に庇護された御用絵師集団、狩野派。その長い歴史の中で、最大の危機が桃山時代でした。棟梁の死、長谷川派の台頭、権力者の交代…困難な局面を前に、一門は生き残りをかけて戦いに挑みました。
    狩野孝信筆《北野社頭遊楽図屏風》
    狩野山楽筆《槇に白鷺図屏風》
    《源氏物語図屏風》京都・檀王法林寺
    (左から)狩野光信筆 八条宮智仁親王賛《三十六歌仙図扁額》京都・高台寺 / 狩野光信筆《唐人物図貝桶》三重・神宮徴古館農業館(写真のものは4/7~26展示)
    重要文化財 狩野山楽筆《山水図襖》
    玄圃霊三賛《松井与八郎像》京都・宝泉寺 / 重要文化財 弓箴善疆賛《小早川秀秋像》京都・高台寺(4/7~26展示)
    狩野貞信筆《楼閣山水図戸襖》京都・麟祥院
    重要文化財 狩野探幽筆 《柳鷺図戸襖》愛知・名古屋城総合事務所
    狩野探幽筆《八尾狐図》
    2007年に特別展「狩野永徳」を開催した京都国立博物館。本展は、ちょうどその続編にあたる企画です。

    48歳で永徳が没したのは1590(天正18)年。信長と秀吉に仕え、画壇の頂点に君臨していた巨星の死去は、狩野派に大きな衝撃を与えました。


    障壁画が多い会場は、見ごたえたっぷり

    この時代の狩野派は、秀吉の長男(鶴松)を弔う障壁画を描く大仕事を長谷川派に奪われるという屈辱を味わいます。さらに、天下は豊臣・徳川・朝廷が拮抗する難しい局面。ここで狩野派が取った策が、美術史上でも名高い「三面作戦」でした。

    豊臣には山楽と内膳、徳川には長信、朝廷には孝信と、三者それぞれに有力な絵師を配し、不測の事態が起きても宗家の安全を守る戦術。実力がある絵師を多く抱える狩野派ならではと言えます。

    永徳の後を継いだ光信は44歳で客死、次の貞信も27歳で急逝と、狩野宗家はその後も悲運が続きますが、各絵師は穴を埋めるかのように奮闘。そして、徳川の治世に相応しい瀟洒淡麗な作品を描く天才・探幽の登場により、狩野派は再び磐石の体制を取り戻したのです。


    危機を乗り切った光信、貞信、内膳、孝信らの作品が並びます

    新発見・展覧会初出展の作品にも注目。いずれも極めて質が高い事も特筆されます。

    永徳のような力強い松の描写が見られる山楽筆《槇に白鷺図屏風》と、狩野派としては珍しく色っぽい所作の人も描かれた《北野社頭遊楽図屏風》は、新発見の作品。画面の損傷が激しかった《源氏物語図屏風》は全面修復され、美しい姿で展覧会に初登場となりました。

    さらに大きな話題となっているのが、開幕直前に出品が決まった探幽筆《八尾狐図》。三代将軍家光が病を患っていた際、夢に狐が現われて治った事から、その狐を描かせた事は知られていましたが、今までその絵は見つかっていませんでした。画中には家光自筆の日付、寛永寺の開山・天海による年号も記されており、歴史的にも重要な逸品です。


    動画は順に、山楽筆《槇に白鷺図屏風》、孝信筆《北野社頭遊楽図屏風》、《源氏物語図屏風》京都・檀王法林寺、探幽筆《八尾狐図》

    昨年9月にオープンした平常展示館「平成知新館」が、多くの来館者に支持されている京都国立博物館

    本展と、京都国立博物館の今後の展開について、佐々木丞平館長にお話しを伺いました。


    京都国立博物館 佐々木丞平館長

    会期はわずかに37日、巡回はせずに京都国立博物館だけでの単独展です。会期途中で展示替えがありますので、ご注意ください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年4月6日 ]

    ■主な展示替
     前期:4月7日(火)~4月26日(日)
     後期:4月28日(火)~5月17日(日)

    ■京博ウェブサイト:http://www.kyohaku.go.jp

    もっと知りたい狩野永徳と京狩野もっと知りたい狩野永徳と京狩野

    成澤 勝嗣 (著)

    東京美術
    ¥ 1,944

     
    会場
    会期
    2015年4月7日(火)~5月17日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:00
    (入館は閉館30分前まで)
    ※特別展期間中は延長あり
    休館日
    月曜日 *ただし、5月4日(月・祝)は開館
    住所
    京都府京都市東山区茶屋町527
    電話 075-525-2473(テレホンサービス)
    公式サイト http://kano2015.jp/
    料金
    一般 1500円(1300円)/大学生 1200円(1000円)/高校生 900円(700円)/中学生以下無料
    *( )内は前売りおよび団体20名以上。
    *障がい者の方と介護者(1名)は、障がい者手帳などのご提示で無料となります。
    *本料金で平成知新館 名品ギャラリーの展示もご覧いただけます。
    *キャンパスメンバーズは、学生証をご提示いただくと団体料金になります
    展覧会詳細 桃山時代の狩野派 永徳の後継者たち 詳細情報
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