フィリップス・コレクションの一般公開は1921年、ニューヨーク近代美術館より8年前のことです。裕福な家庭に生まれたダンカン・フィリップスと妻のマージョリーが、1918年に相次いで亡くなった父と兄を追悼するため、1920年にフィリップス記念ギャラリーを設立したことを契機に、翌年には自邸で一般公開を始めました。当初の所蔵品は237点でしたが、現在では3000点近くにのぼっています。
同コレクションは西欧近代を中心とする優れた作品群で知られていますが、その一方で、まだ評価の定まっていなかった同時代のアメリカ人作家も積極的にサポートしました。その中にはジョン・マリン、エドワード・ホッパー、スチュアート・デイヴィスら、後にアメリカの代表的作家として認められた作家も多く、優れた審美眼は高い評価を得ています。
第6章「都市」「ロマン主義とリアリズム」「印象派」「自然の力」「自然と抽象」「近代生活」「都市」「記憶とアイデンティティ」「キュビスムの遺産」「抽象表現主義への道」「抽象表現主義」の10章で、19世紀後半から戦後のアメリカ絵画隆盛期にいたるアメリカ美術の軌跡をたどる本展。同コレクションの中から110点が展示されました。大自然や摩天楼の姿、移民による人種的多様性など、さまざまな背景をもつアメリカ美術の豊かな表現を一望することができます。
第10章「抽象表現主義」会場は国立新美術館の企画展示室1Eで、館内のレストランでは展覧会期間中にコラボメニューも提供するほか、青山ブックセンター六本木店やTSUTAYA TOKYO ROPPONGIなどでもタイアップイベントが開催されます。詳しくは公式サイトでご確認ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年9月27日 ]