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    レポート
    燕子花図と夏秋渓流図
    根津美術館 | 東京都
    今年は切手にもなりました
    この時期の根津美術館といえば、もちろん国宝《燕子花図屏風》。今年は鈴木其一の《夏秋渓流図屏風》とあわせてご覧いただきます。描かれた時期は約100年離れていますが、似たイメージも感じさせます。
    (左奥から)《夏秋渓流図屏風》鈴木其一筆 / 国宝《燕子花図屏風》尾形光琳筆
    《夏秋渓流図屏風》鈴木其一筆
    《四季草花図屏風》伊年印
    (左奥)《銹絵梅図角皿》尾形乾山作・尾形光琳画 / (右手前)重要文化財《銹絵染付金彩絵替土器皿》尾形乾山作
    (左から)《木蓮棕櫚芭蕉図屏風》伝 立林何帠筆 / 《梅下寿老人図》渡辺始興筆
    (左奥から)《高尾大夫・吉原通船図》歌川広重筆 / 《舟遊・紅葉狩図》住吉広定筆
    (左から)《不忍蓮・枯野牧童図》渡辺省亭筆 / 《富士・青田鷺・稲架烏図》野崎真一筆
    展示室5「行楽を楽しむ器―提重と重箱―」
    展示室6「新緑のころ―初夏の茶の湯―」
    根津美術館ご自慢の庭園でも、カキツバタが見ごろとなるこの季節。尾形光琳による国宝《燕子花図屏風》を楽しめるのは、この時期だけのお楽しみです。

    今回、並べて展示されているのは、鈴木其一《夏秋渓流図屏風》。尾形光琳を私淑した酒井抱一、その弟子が鈴木其一。其一は昨年の大規模展も話題になりました。

    デザイン画のような国宝《燕子花図屏風》に対し、《夏秋渓流図屏風》は体裁としては風景図。ただ、うねるような水流、大きすぎるユリ、ストップモーションのような紅葉と、どこか非現実的な要素も見られます。

    似ている点を挙げれば、まず金地に青と緑という色合い。縦位置のモチーフがリズミカルに連なる点も類似しています。

    展示ケースの反対側では、6枚のパネルによる詳細な解説も。《燕子花図屏風》の伝来や、「其一は応挙を見たか?」など、興味深いコラムもお楽しみください。

    展覧会では、其一が活躍した19世紀前半から20世紀初頭までに江戸=東京で制作された作品もあわせて展示されています。


    第1展示室

    展覧会は第2展示室にも続きます。

    あまり比較される事はありませんが、東海道五十三次で知られる歌川広重は鈴木其一と同時代の画家(広重は其一のひとつ年下です)。《高尾大夫・吉原通船図》は吉原の遊女が詠んだ句をもとに描かれた肉筆浮世絵です。

    会場最後は、最近注目度が高まりつつある渡辺省亭(わたなべせいてい)。省亭は明治から大正にかけて活躍した日本画家で、遊学先のパリで印象派の画家たちとも交流しています。展示されているのは、晩年の軽妙な作品《不忍蓮・枯野牧童図》です。


    第2展示室

    なお、燕子花図屏風は2017年の「切手趣味週間」のデザインに選ばれました。燕子花図屏風は、2011年の「旅の風景シリーズ」や、古くは1970年の日本万国博覧会の記念切手として採用された事がありますが、今回は右隻・左隻の全面が切手になりました。全国の郵便等でお求めいただけます(根津美術館では販売していません)。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年4月11日 ]



    ■燕子花図と夏秋渓流図 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2017年4月12日(水)~5月14日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は16:30まで)
    休館日
    月曜日、ただし5月1日(月)は開館
    住所
    東京都港区南青山6-5-1
    電話 03-3400-2536
    公式サイト http://www.nezu-muse.or.jp/
    料金
    一般1300円、学生[高校生以上]1000円
    *20名以上の団体、障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
    展覧会詳細 燕子花図と夏秋渓流図 詳細情報
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