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    レポート
    2011イタリア・ボローニャ国際絵画原画展
    板橋区立美術館 | 東京都
    イタリア人が描いた「かぐや姫」
    イタリアのエミリア=ロマーニャ州の州都、ボローニャ。パスタのボロネーゼに名を残す美食の町ですが、世界最大規模の絵本原画コンクール「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」も忘れてはいけません。
    特別展示はイタリアの若手イラストレーターのフィリップ・ジョルダーノ。テーマは日本の「かぐや姫」。
    展覧会場風景
    ガブリエル・パチェコ(メキシコ)「4ひきの友だち」(部分) ◇いわゆる「ブレーメンの音楽隊」です。
    トンカ・ウズ(ブルガリア)「ブレーメンの音楽隊」 ◇同じ題材でも、だいぶ雰囲気が違います
    スズキサトル(日本)「ティピー・キャンプ」 ◇テントの立て方を描いた作品。テントを立てる途中のシーンも可愛いので、会場でご覧ください。
    ヌーシーン・サファーフー(イラン)「ルーミーの話」 ◇独特の存在感。イランは本展ではいつも入選しているそうです。意外な絵本先進国。
    今年はグッズコーナーも充実させました。Tシャツ、ポストカード、カンバッヂ等々。
    美術館外観。左側のバナーフラッグにはちょっとびっくりのコメントが書かれていますが、スタッフの投票で決めたそうです。
    今回のオミヤゲは、トートバッグ(800円)とダブル・クリアファイル(400円)。トートバッグのイラストは3種。かなり迷いましたが、ご飯のイラストに惹かれました。
    ボローニャ・ブックフェアが開催する同展は、絵本のイラストレーションに特化したコンクールで、国際的にもっとも大規模かつ権威あるものとして知られています。開催は1967年からで、実に今回で45回目。2011年は世界58ヶ国、2,836作品の応募があり、その中から日本人19人(組)を含む20ヶ国76作家が入選しました。

    毎年、同展はボローニャでのブックフェア終了後、7月から日本各地を巡回しています。今年も板橋のあとは西宮市大谷記念美術館(兵庫)、高浜市やきものの里かわら美術館(愛知)、石川県七尾美術館と巡回されます。板橋区立美術館での同展開催は、今年で31回目。板橋区はこの展覧会の縁もあって、2005年にはボローニャ市と友好都市提携も結んでいます。

    会場。来場したお客様はゆっくりと熱心に見る方が多いそうです。

    美術館二階の展示室に上ると、入選作がずらり。国籍も地元イタリアをはじめドイツ、フランス、イギリスなどのヨーロッパ諸国からイラン、メキシコ、タイ、台湾など、国際色豊かな顔ぶれが並びます。日本人作家は数も多く目立っていますが、最近は韓国勢の躍進が顕著だそうです。

    国籍だけでなく、技法や作風も様々。細い線でビッチリと描き込まれたモノトーンの作品、水彩と色鉛筆のほのぼタッチの作品、コラージュ写真で作られた重い雰囲気の作品など、絵本の画には決まった型がないので、とてもバラエティーに富んでいます。

    また、会場には絵本の実物が展示されているものもあり、自由に手にとって見ることができます。文字が入って製本された絵本を見ると、原画とはまた違った印象も受けます。

    フィリップ・ジョルダーノが描いた「かぐや姫」。五人の王子が失敗を続けるシーン。

    今回のもうひとつの目玉は、イタリアの若手イラストレーター、フィリップ・ジョルダーノによる絵本原画の特別展。同展入選作家の中で35歳以下を対象にした「ボローニャSM出版賞」を受賞した氏の作品は、なんと日本の「かぐや姫」。基本的なかぐや姫のストーリーはそのままですが、かぐや姫に求婚する五人の王子が仮面をかぶっていたり、かぐや姫にいつも寄り添っている精霊がいるなど、オリジナルの解釈を加えて描いています。日本人の我々が見ると、不思議な感じがする作品でした。

     


    最後に、板橋区立美術館をご紹介します。東京23区の区立美術館は、渋谷区立松濤美術館(昭和56年開館)、練馬区立美術館(同60年)、世田谷美術館(同61年)、目黒区美術館(同62年)などがありますが、最初にできたのがこの板橋区立美術館で、昭和54年の開館です。

    西高島平駅から徒歩13分と少し離れていますが、すぐ裏手は赤塚城址の公園が広がっているほか、近くには松月院、乗蓮寺(東京大仏)など史跡も多くあります。公式サイトにはお散歩マップも用意されていますので、涼しい時間帯に散策してみてください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年7月7日 ]
     
    会場
    会期
    2011年7月2日(土)~8月14日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:00(入館は16:30まで)
    休館日
    月曜日(ただし月曜が祝日のときは翌日)
    年末年始
    展示替え期間中(常設展示はありません)
    住所
    東京都板橋区赤塚5-34-27
    電話 03-3977-1000 (テレホンサービス)
    公式サイト http://www.itabashiartmuseum.jp/art/
    展覧会詳細 2011イタリア・ボローニャ国際絵画原画展 詳細情報
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