世界的な画家になることを夢見てパリへと渡り、やがてエコール・ド・パリを代表する画家の一人として活躍した藤田嗣治(1886-1968)。2023年は、藤田が初めてパリへ渡ってから110年目にあたります。
1913年に待望のパリ留学を果たした藤田。留学初期より世界を意識し、「何れの真似でもない」、「全くその人独特の」絵を描く画家となることを目指しました。同時代の画家たちと交流を図る一方で、古代エジプト、ギリシア時代の古典芸術に学びながらも、独自の画風を確立するべく研鑚を重ねます。1917年6月にはパリ・シェロン画廊での初個展が好評を博し、1919年のサロン・ドートンヌでは、初出品ながら油彩画2点、水彩画4点のすべてが入選するという快挙をおさめ、会員へと選出。1921年のサロン・ドートンヌに出品した裸婦像をはじめとする3作品は、「素晴らしき乳白色(grand found blanc)」と称賛を受け、パリ画壇の寵児となるのです。
本展では、初公開となるパリ留学前の希少な作品から、藤田の代名詞ともいえる「乳白色のカンヴァス」にいたる初期の作品に焦点をあて、藤田の画風確立の変遷をたどります。
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