伊丹市立美術館「熊谷守一展」へ
4/11~5/31まで伊丹市立美術館で開催予定だった熊谷守一展が、コロナ感染拡大防止のため、2か月余の遅れで、6/23~7/31まで開催されています。
熊谷守一生誕140周年、伊丹市制施行80周年のこの展覧会は、「わたしはわたし」という熊谷守一らしいタイトルです。
熊谷守一といえば、「モリカズ様式」の絵!
《つつぢに揚羽蝶》1962 年, 油彩・キャンバス, 蘭島閣美術館蔵
「モリカズ様式」という言葉を知らなくても、熊谷守一といえば、「単純な形態と明瞭な色彩」を特徴とする彼の絵のファンは多いと思います。実際、会場に入ってすぐの壁面に飾られた「伸餅」「温泉」などは、「あっ!これ!これ!」と見入ってしまいました。
単純化されながら、なお、対象物に対する深い洞察、やさしいまなざしを感じて、ウルッときてしまいます。
個人的には、モリカズ様式で描かれたさまざまな絵の、多様な「青」「ブルー」がとても好きです。
熊谷守一の裸婦
熊谷守一といえば、仙人然とした風貌から、「画壇の仙人」と呼ばれることも多く、そんなイメージが独り歩きしている感もありますが、今回の展覧会では、彼の裸婦像が多く展示されていました。少し意外でした。
初期のころから、晩年に至る裸婦像の変遷を追うのも、一興です。
熊谷守一の書
色鮮やかな多くの絵に混じって、墨痕あざやかな、熊谷守一の書が並んでいます。
気持ちの赴くままに、自由に筆を動かしているようであり、また、熊谷守一という人となりがそのまま迸っているようであり、彼の書の前に立つと、彼の大きさ、自由さを感じることができます。
熊谷守一の絵の中の生き物
《三毛猫》1959 年, 油彩・板, 愛知県美術館 木村定三コレクション
熊谷守一の絵には、猫や、蟻や蝶など多くの生き物が描かれています。自宅では、鳥を飼い、庭にはいろいろな虫たちがおり、池には魚が泳いでいました。
蟻を何時間も眺めていたという熊谷守一ですから、生き物へのまなざしは温かいです。
伊丹市立美術館周辺のお楽しみ
(日本庭園)
伊丹市立美術館は、伊丹市立伊丹郷町館、旧岡田家住宅・酒蔵などとともに、みやのまえ文化の郷エリアにあります。
中庭には、美しい日本庭園もあり、展覧会を見て疲れたら、一休みすることもできます。
伊丹市立美術館は、熊谷守一展が終了した後、9月から再整備工事のため休館し、2022年4月にリニューアルして再オープンされる予定です。
「モリのいる場所」もおすすめ!
山崎努さんが熊谷守一を、樹木希林さんが妻の秀子を演じた映画「モリのいる場所」は、熊谷守一ファンにはおすすめです!彼が、蟻を、蝶を、魚を描いた自宅の庭や暮らしぶりが丁寧に描かれています。
「映画を観てから展覧会に行くか、展覧会を見てから映画を観るか」悩むところです。
[ 取材・撮影・文:atsuko.s / 2020年7月10日 ]
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