現在、NYを拠点に活動するバルーチャは、日本人の母とビルマ人の父を持ち、幼い頃から家族とともに東京、トロント、ロサンゼルス、サンディエゴと、様々な街を移り住んできました。在学中から音楽やビジュアルアート、デザイン、ファッション、写真など様々なフィールドで活躍してきたバルーチャの作品は、インスタレーションからペインティング、コラージュ、写真と多岐にわたります。緻密にコントロールされた色彩の重なりと線によって構成されるパターンを背景に、意表をついた自由な空想世界のモチーフが独自の躍動感を持ち、観る者の身体感覚にリズムを刻むバルーチャの世界観は、無意識のイメージや過去の体験、夢と現実が混在しており、バルーチャ自身の幼少時の思い出や、音楽や写真、ウォールペインティングなど身体性を伴う様々な分野で活動している経験から培われたのであろうことが伺えます。
ARTS ISOZAKIでの初個展となる本展では、デジタルでプリントされたキャンバスにコラージュとペインティングを施した作品を発表いたします。バルーチャはこれまで、コラージュやペインティング、写真などのメディアで作品制作をしていましたが、それぞれ独立した形で制作を続けてきていました。
今回バルーチャは展覧会タイトルである「Infinity Loop」について以下のように語っています。
「生きるものには必ず終わりが来る。生きている間、人間は無数の前例があっても似たような過ちを何度も起こす。生きるという体験はループしているように感じられる。それは円のように終わりがないものなのか、それとも宇宙の先に全てのものが終了する地点があるのだろうか。この個展では、地球上で人間が起こす問題を、永続的な模様のようなイメージに置き換え、それらを作品化したものを中心に展示する予定です」
大きなスケールと想像力によって生み出されるバルーチャの作品世界をご高覧いただけましたら幸いです。