茶の湯名椀「高麗茶碗」

多様な高麗茶碗が集結

室町時代末期に日本に伝わった高麗茶碗。素朴さと大らかな作風を持ち合わせながら、時代や地域、経緯により、その形は変化していきます。普段なかなかお目にかかれない個人蔵を中心に、多様な高麗茶碗が三井記念美術館に集結しました。

  • 《刷毛目茶碗 銘合甫》 16世紀 / 《粉引茶碗》 16世紀 [ともに全期間展示]
  • 展示室1
  • (左から)《三島茶碗 銘漣波》 16世紀 / 《三島茶碗 二徳三島》 16世紀 三井記念美術館 [ともに全期間展示]
  • (左から)《斗々屋茶碗 銘奈良》 16世紀 [全期間展示] / 《斗々屋茶碗 銘彩雲》 16世紀 藤田美術館 [展示期間:9/14~11/10]
  • (左から)《蕎麦茶碗 銘花曇》 16世紀 [全期間展示] / 《蕎麦内刷毛目茶碗》 16世紀 [展示期間:9/14~11/10]
  • (左から)《黒織部茶碗 銘夏の雪》 17世紀 / 《鼠志野檜垣文茶碗 銘ささ浪》 16-17世紀 [全期間展示]
  • (左から)《御所丸茶碗》 17世紀 三井記念美術館 / 《御所丸茶碗》 17世紀 [全期間展示]
  • (左から)《絵御本編笠茶碗 弥平太》 17-18世紀 / 《絵御本早蕨文茶碗 弥平太》 17-18世紀 [全期間展示]
  • 《半使片身替茶碗 銘蓬菜》 17世紀 / 《半使茶碗》  17世紀 / 《半使茶碗》 17世紀 / 《半使茶碗》 17世紀 [全期間展示]

日本の伝統的な美術を核としながら、楽茶碗や唐物茶碗など多くの茶碗を紹介してきた三井記念美術館。

本展覧会では、現存する数は和物茶碗にも並ぶと言われながらも、やや難しい印象をもたれる「高麗茶碗」を紹介しています。

茶の湯の茶碗は、産地によって、中国の“唐物茶碗”、日本の“和物茶碗”、そして朝鮮半島で焼かれた“高麗茶碗”の3つに分けられます。中国から喫茶法が伝わって以来、唐物が中心だった室町時代末期に、新しく見いだされたのが、高麗茶碗です。今回は、なかなか見ることの出来ない個人蔵の作品が一堂に会する、とても貴重な機会です。

展示は、時代を追って3つの章立てとなっています。

まず、16世紀に、朝鮮半島各地で日常品として焼かれた器が、茶の湯のために見立てられたもの。次に、16世紀末から17世紀初め頃、日本向けに焼かれたと思われる茶の湯の茶碗。最後に、17世紀から18世紀中頃、対馬藩の贈答品として焼かれた「御本」の名称で親しまれているものです。



展示室でまず目に留まるのは、茶の湯のために見立てられた、「大井戸茶碗」です。

井戸茶碗は、器形の違いにより、大井戸・青井戸・小井戸・小貫入の4種類があります。「大井戸」は、その名のごとく、大らかに轆轤引きされた、深い見込みと高い高台がある茶碗です。姿も釉薬も理想的に焼きあがった、インパクトのある力強い作品です。

展示室5では、日本向けにつくられた茶碗の一つ、「堀三島」を展示。灰色の素地に純白の白土を塗って、さまざまな意匠を作り出し、透明釉をかけて焼き上げたものが特徴です。鮮やかな印花文が施されており、とても印象に残ります。

同様に、日本向けにつくられましたが、その後変化していった茶碗が展示室7にあります。「御本(ごほん)」は、朝鮮との国交の窓口を担っていた対馬藩が、朝鮮で焼かせた茶碗。京都から注文を受け、贈答用につくられました。当初は高麗茶碗に倣っていましたが、次第に和様化していき、京焼の様な作品も生まれました。

時代や土質や釉薬、作行きは多様ですが、どれも素朴さと大らかさを特質としている高麗茶碗。作品それぞれを見比べるだけでなく、キャプション横にある高台の写真と一緒に鑑賞することで、より茶碗の魅力を味わえるのではないでしょうか。

[ 取材・撮影・文:坂入美彩子 / 2019年9月13日 ]

※会期中に展示替えがあります。

高麗茶碗 井戸・粉引・三島 (別冊『炎芸術』) 高麗茶碗 井戸・粉引・三島 (別冊『炎芸術』)

(著)片山まび、砂澤祐子、黒田草臣

阿部出版
¥ 2,700

 

ミュージアムの詳細

展覧会の詳細

会期

2019年9月14日(土)~12月1日(日)