所蔵品展　ふりそそぐ光のかたち

古来より私たち日本人は、風土から享受する自然の恵みと四季の移ろいを愛で、独自の感性によってそれらを表現してきました。現代の美術・工芸の世界においても、その繊細な感覚を作品に反映させる技術力と表現力は、一つのオリジナリティとして国際的に認められています。 　空間に漂うかのような豊かな線をみせる美術家・篠田桃紅は、文字の持つ意味に縛られることなく、視覚の美を追求することで書のイメージを押し広げ、墨による造形を一つの美術表現として確立させました。湿潤な日本の環境下でこそ引き出されるにじみや墨の多彩な表情と、自身が見聞きし、心に触れた温度や景色とが結実することで、光を帯びた線が浮かび上がります。白磁の洗練されたフォルムが特徴的な陶芸家・黒田泰蔵は、潔く鋭いエッジの中に、温かさと心地よさを湛える深い精神性を感じさせます。 　本展では、これらの作家による作品に加え、緑あふれる日本庭園を背景に輝く、ガラス・陶磁器作品を合わせて展覧致します。 　春から夏へと移り行く季節の中に、それぞれの作家により洗練された美意識が「かたち」として実を結び、立ち現れる光景をご高覧ください。 〈出品作家〉 篠田桃紅 板橋廣美　伊藤慶二　扇田克也　小川待子 黒田泰蔵　高橋禎彦　深見陶治　宮永東山　ほか 県内作家　安田泰三　吉田薫　小島有香子　ほか