日本科学未来館(略称:未来館 館長:毛利 衛)は、近年よく耳にするようになった「発達障害*」について、科学の観点から切りこむトークイベントを開催します。
発達障害はどのようにして発症するのか? その要因を科学的に知ることを通して“障害”というものを捉えなおし、共生社会のための新たな視点を科学の側から提示します。発達障害は心理学や教育学などの分野で研究が進んできましたが、いまゲノム解析技術や神経科学の発達によって、その発症メカニズムが科学的に解明されつつあります。このイベントでは、脳のはたらきを分子レベルで研究している理化学研究所・内匠 透氏をお迎えし、発達障害の一つである自閉スペクトラム症をDNA や脳細胞のレベルから解き明かしていきます。
発達障害の難しさの一つは、その実態が見えにくいことにあります。それゆえに、周囲の人も本人も障害とのつきあい方がわからず、社会生活に支障が生まれがちです。しかし、ゲノムに見られる個人差と行動分析の結果をつきあわせながら発症のメカニズムを理解すれば、発達障害は誰もがもつゲノムのバリエーションの一つであり、障害をもつ人ともたない人の間には明確な“境目”がないことに気づかされるでしょう。このように先端科学を通して障害について“わかる”ことの意義と、それによってできることを参加者の皆さんとともに考えていくことがこのイベントの主旨です。
*発達障害:生まれつき脳機能の発達がアンバランスであるため、成長するにつれて社会生活やコミュニケーションに困難が生じる障害
開催場所:日本科学未来館 5階 コ・スタジオ
講 師 :内匠 透氏(理化学研究所 脳科学総合研究センター シニアチームリーダー)
※当日、聴覚障害の方に向けた情報保障を行います