現在の食卓でも日常的に使われる、陶磁器の皿。ただ、陶磁器の展覧会では碗や壺などが中心になる事が多く、皿のみで構成される展覧会はちょっと珍しいかもしれません。
展覧会では日本と中国で生産された様々な皿をご紹介。まずは大きな皿に目を向けると、中国では元から明時代初頭に数多く生産。日本でも江戸時代後期に各地で大皿が焼かれました。
小さい皿は、日本には花鳥風月などをモチーフにしたバラエティ豊かな小皿があります。懐石膳のような小さな食卓を使った生活文化から生まれた、日本陶磁器の特徴ともいえます。
それでは、いくつか具体的な作品をご紹介いたします。
直径が60cmほどある青磁の大皿は、元時代に龍泉窯で焼かれたもの。イスラムで好まれ、中近東諸国に運ばれました。当時の絵にも大皿が描かれています。
様々な意匠の小皿は、桃山時代の美濃や、江戸時代前期の肥前でつくられたものです。小皿を使う文化は、国産陶器の質の向上にも繋がっていきました。
展示室2では、資料として「石城日記」と皿を並べた紹介もあります。石城日記は幕末の下級武士が書いた絵日記で、展示された皿から、約150年前の食卓の姿が伺えます。
展示室5で同時開催されているテーマ展「舞の本絵巻」もオススメです。幸若舞(こうわかまい)という芸能の台本を読み物に転用した「舞の本」の絵巻で、室町時代に描かれた《築島》は、なんともいえない脱力系の描写がユニーク。あわせてお楽しみください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年7月12日 ]■やきもの勉強会 に関するツイート