
《ウマノオレイ》 (《子供ノ絵本 動物イロイロ》から) 北村今三 1944(昭和19) 木版・手彩色、紙、11.4×7.5㎝ 京都国立近代美術館
北村今三(1900-1946)は神戸に生まれて神戸で活動した版画家です。竹久夢二や、同時代の創作版画運動に感化され、創作版画家として活動しました。
創作版画というのは、絵師と彫師と摺師の分業制で制作される浮世絵とは違って、下絵を描いて板に彫刻して紙に摺るまでの全工程を、作者が一人で行うというものです。
この「ウマノオレイ」も創作版画のひとつ。サーカスの馬が、まるで観客にお礼をしているみたいな動作で、曲芸をしている様子(曲馬)を描いているのでしょう。
木版画ではありますが、作者が自身の手で彩色を施していて、普通の版画とは一味違います。
ペリカン、ペンギン、カンガルーなど、いろいろな動物を表現した24枚の版画集《子供ノ絵本 動物イロイロ》の中の1枚です。24枚の版画は小さなカードになっていて、それらを収める封筒も版画になっています。子どもも大人も楽しめる作品集に仕上がっています。
担当者からのコメント
この愛らしい作品は、北村今三の創作版画で、彼の版画仲間だった川西英が大切に保管していたものです。川西英は自身も優れた創作版画家でしたが、版画コレクターでもありました。特に竹久夢二のマニアで、夢二関連だけでも400点近い作品・資料を収集していますが、北村今三の作品も140点以上を収蔵しています。
京都国立近代美術館で3月28日から6月21日まで開催する「モダン都市生活と竹久夢二」では、この「ウマノオレイ」を含む《子供ノ絵本 動物イロイロ》も展示します。この機会に是非ともご覧くださいますようお願いします。