
《ほにほろ》 小川芋銭 昭和12年(1937)
「ほにほろ」とは江戸時代に流行した飴売りの歌った文句、またはその飴売りのこと。本作で描かれているのは、騎馬姿の唐人(異国人)に扮した飴売りです。唐人飴売りとも呼ばれたこの飴売りは、唐人風の服装をして、胴体に穴のあいた馬の張り子を体に通し、馬に乗っているかのような出で立ちで唐人笛を吹き、歌い踊りながら飴を売り歩いたといいます。その様子は浮世絵などの絵画や版本などの記述にも表れ、人々の注目を集めたことがうかがえます。
本作は、茨城県南の牛久沼の畔で暮らし、農村の風物や牛久沼に残る河童伝説、水辺や野山の動物たちなどをテーマに、多様な作品を残した日本画家・小川芋銭(1868-1938)によるものです。凜々しい目をした白馬の張り子を身にまとい、扇を掲げ、高らかに笛の音を響かせる飴売りの姿がユーモラスに描かれた1点です。
担当者からのコメント
キリッとした目のかっこいい白馬!と思いきや、よく見ると、馬のお腹の下から筋肉質な人の脚が…!?そうこれは「張り子の馬」なのです…!
明るく楽しげな気持ちにさせてくれる本作は、所蔵作品展「日本の近代美術と茨城の作家たち 冬」(2025年12月24日~2026年2月15日)にて展示予定です。皆様のご来館をお待ちしております!