
《義家勿来関図小柄》
江戸時代後期、水戸の彫金家・鈴木元章が制作した小柄(刀剣の鞘に付属する小刀の柄金具)です。
本作は、源義家(八幡太郎)が常陸国と陸奥国の境にある勿来関(なこそのせき)で詠んだ和歌「吹く風をなこその関と思へども道もせにちる山桜かな」(『千載和歌集』所収)にちなんだ情景を表しています
担当者からのコメント
馬上の義家の姿や衣装、愛馬のたてがみまでが立体的に表現されており、掌に収まる小柄の中に、歌に詠まれた風景と武将の気迫が精緻な彫金技法によって凝縮されています。武士にとって欠かせない存在であった「馬」と武将像が、わずか数センチの金具の中に豊かに表現された作品です。
画面からは、北へと進軍しようとする義家の決意と、山桜のはかなさが同居する物語性が感じられます。拡大画像で、馬の表情や衣文の細部までぜひご覧ください。
投票は1日1回までとなります。