
《来る馬》(くるうま) 上泉華陽 昭和中期ごろ
山形県米沢市の旧上杉藩士で獣医師の家に生まれ、幼い頃から馬と暮らし、馬に魅せられ、馬の画家となった上泉華陽(1892-1979)の作品です。東京美術学校(現・東京藝大)卒業後、理想の馬の容姿を求めて国内外を奔走。『平家物語』などでも語られる「宇治川の先陣争い」に登場する名馬「いけづき」を産出するなど、古くから良馬の産地として知られる青森県七戸町に腰を据え、以降半世紀以上もの間地方に在りながら、馬の絵一筋に生き天寿を全うしました。
本作は、七戸町立鷹山宇一記念美術館の収集作家の一人“馬の先生・華陽さん”が、大胆かつユニークに真正面から馬を捉えた墨画(軸装)です。真摯に描かれつつも、どこかお茶目で近しげな「来る馬」。纏う「静」の気と真っ直ぐなその瞳には、互いの尊厳を認め合う「絆」と「信頼」を見る思いです。生態、本能、喜怒哀楽、時には解剖に立ち会うなどあらゆる角度から馬を研究し、愛し、そのすべてを知る上泉華陽ならではの、招福「招き馬」の図、とも言えましょうか・・・。
担当者からのコメント
尻尾を高く振り、軽やかな足取りで真っ直ぐこちらへ駆けてくる馬。
古くから馬は、生まれてすぐに走れるようになることから“縁起の良い動物”とされ、「幸運が駆け込んでくる」とも言われてきました。
「来る馬」は、まさに“幸運”そのものがこちらへ向かってきているかのよう。
これほど心強い光景は、なかなかありませんね!
この1年が皆様にとりまして幸多き佳き年となりますように!!
ちなみに2026年は、当館にて「上泉華陽展」の開催も予定しております!
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