
《東宮御所壁装草稿(1)》 浅井忠
千葉県ゆかりの近代洋画の先駆者 浅井忠(1856~1907)は、佐倉藩士の長男として生まれ、日本最初の官立美術学校「工部美術学校」第1期生として、アントニオ・フォンタネージから西洋画を学びました。1900年にはフランス・パリに留学。流麗な線が特徴的な「アール・ヌーヴォー」の表現に感銘を受けて、デザイン活動を開始します。帰国後は京都に移住して京都高等工芸学校教授を務めるほか、聖護院洋画研究所を設立し、後進の洋画家育成に尽力しました。
本作は、浅井忠が制作した東宮御所室内装飾(壁装)原画の初期段階の草稿。中央に狩りをする騎馬武者を描き、四方には、装飾的に鳥や紅葉などを描いています。
担当者からのコメント
実際に完成した原画と異なり、草稿段階の本作では、画面の四方が装飾的要素で囲まれています。馬や騎馬武者が身につける装束など、細部に至るまで念入りな研究を重ねており、浅井の確かな描写力とデザイン感覚がうかがえます。
浅井は何度も馬を描いていますが、本作の馬の表情はとりわけ穏やか。狩の労をいたわって、思わずたてがみを撫でてあげたくなってしまいませんか?
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