
《アマゾーヌ》
作者は彫刻家の木内 克(きのうち よし)(1892-1977)。
「アマゾーヌ」は1968年に制作された高さ35×幅12×奥行き41センチほどの女性の乗馬姿のブロンズ像である。やや小ぶりながらも木内らしい柔らかくおおらかな造形美が感じられる作品だ。
※タイトルの「アマゾーヌ」とは仏語でギリシャ神話に登場する女性だけの部族のことで、馬を操る騎馬民族だとされている。
担当者からのコメント
木内克は、収蔵作品の中でも信州高遠美術館設立のきっかけになった原田コレクションの主要な作家の一人で、彫刻家朝倉文夫に師事した後、渡欧しブールデルに師事、また窯業家ラシュナルのもとで陶芸を学びました。ギリシャのアルカイック彫刻に影響を受け、テラコッタで独自の作風を作り上げていきました。
今回選んだ作品はテラコッタではないですが、木内の作り出した自由な造形と生命感が感じられるように思います。ギリシャ神話の「アマゾーヌ」に木内がなぜ惹かれたのかはわかりませんが、本作以外にも同じモチーフで制作された作品がいくつか残されています。女性のみの部族であるアマゾーヌに女性の力強さや生命力を感じたのかもしれません。また木内は子供の頃から動物好きであり、さらに好きな動物の中でも特に猫と馬が好きだという本人談が残されていることから、アマゾーヌが騎馬民族だということも創作意欲を沸き立たせた要素のひとつかもしれません。そんなことを考えながら鑑賞するのもまた面白いのではないでしょうか。
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