ケニアの首都ナイロビにある巨大スラム・キベラに暮らす若者たちが、自らの手で撮影した写真・映像を通じて、「語られてきた存在」としてのスラム像を問い直し、「語る主体」として立ち上がります。
将来の夢を聞くと、多くの若者が「ジャーナリスト」と答えるのは、自身の存在を社会から無視され疎外されてきたという実感があるからです。寄付によって集まったカメラと、プロの写真家・映像作家による技術指導をきっかけに、彼女/彼らが自身の暮らし、よろこびや苦しみ、働く姿や生きる希望を記録しはじめました。これは単なる記録ではなく、「語る力」を獲得していく過程そのものであり、これまで外部の視点によって一方的に消費されてきた「スラム」のイメージを、本人たちの手で再定義していく行為でもあります。
本展では、100点を超える作品と、アーティスト自身による作品解説映像などを展示します。会期中には、キベラで暮らす若者に聞いてみたいことを質問し、後日返事が届く“対話”の機会を設けるなど、被写体と観客のあいだに「語りの往復」が生まれる場をつくりだします。東京の中心とはかけ離れたケニアのスラムでの視点をBUGのホワイトキューブに持ち込むことで、「表現すること」の根源的な力、そして、よろこびを問い直す試みです。