猫はわたしたちにとってとても身近な動物で、古くから一緒に暮らしてきました。その愛らしい表情や動きだけではなく、気まぐれで自由、どこか高貴でミステリアスな雰囲気も猫ならではの魅力といえるでしょう。多くの人の心をとらえ続けている猫は、犬とならぶペットの代表格であり、子ども向けの雑誌や絵本などで早くから取りあげられてきました。その姿は個性的な主人公として、またある時は味のあるわき役として、さまざまな画家によって数多くの作品に描きだされてきました。
本展は、明治以降、子ども向けの雑誌や絵本などに登場してきた「猫」のイラストレーションに着目し、日本の絵本100年のあゆみをダイジェストにたどりつつ、今もあらたな創作が生みだされている「猫」絵本の多様な表現世界を紹介するものです。
第1部として、芸術的で教育的な絵雑誌の先駆けとなった明治末創刊の『幼年画報』(博文館)をはじめ、モダニズムの文化が花開いた大正期に創刊された『子供之友』(婦人之友社)などに描かれた「猫」表現を中心に取りあげます。芸術性の高い大正期の絵雑誌で活躍した北澤楽天や村山知義、岡本帰一らが描いた原画も展示します。
そして、第2部では、せなけいこや田島征三をはじめとした1960年代から絵本を手がけてきた画家から、ささめやゆきやミロコマチコ、きくちちき、どいかやなど幅広い世代の画家たちが描いた絵本原画を紹介します。あわせて制作過程が垣間見られる下絵やダミー本なども展示し、それぞれの画家の創作にも迫ります。画家たちが描いてきたさまざまな猫たち。愛(にゃ)でずにはいられない、その魅力を探ります。
出品作家(原画)
第1部:1880年代から1940年代までの絵雑誌に見る、猫表現のうつり変わり
北澤楽天、竹久夢二、岡本帰一、村山知義、深澤省三(順不同)
第2部:1950年代から現在にいたる、さまざまな画家たちの猫絵本の原画を紹介
朝倉摂、五十嵐大介、石黒亜矢子、井上洋介、宇野亞喜良、片山健、きくちちき、ささめやゆき、瀬川康男、せなけいこ、田島征三、どいかや、馬場のぼる、ミロコマチコ、村上康成、安泰(50音順)