写実絵画界のトップランナー、白日会会員として活躍中の山本大貴の個展を開催いたします。
山本大貴の描く人物は、まるで写真と見間違うほど、髪の毛1本1本、指先の動き、着ているドレスや着物の質感まで完璧に表現されているだけでなく、その場の空気感や光など、そこに存在するすべてを描き出しています。
照明や衣装、小道具の配置など、すべて計算し尽くした舞台を作り、まるで映画の撮影をするようにキャンバスに描いていくといいます。モデルをカメラ越しに見るような、どこか一線を引いた視点もうなずけます。
タイトルのSimulacrum Girlsについて山本は次のように語ります。
『本展で描かれる女性たちは、実際のモデルへ綿密な取材を経て支持体の上に立ち現れています。しかしそこに描かれているのは、彼女たちのありのままの日常ではありません。私の絵画にとってモデルとは、映画の中で特定の役柄を演じる俳優のような存在です。彼女たちの固有の性格や日常の文脈は一度注意深く取り除き、絵画というフィクションのための理想の器へと変換されます。
タイトルにある「シミュラークル」とは、オリジナル(実体)なき模像を意味しています。現実を起点としながらも、完成した油絵に定着しているのは、作家の、あるいは鑑賞者の脳内にしか存在し得ない「手の届かない理想像」です。油絵具という圧倒的な「物質」によって描かれた、実体のない少女たち。私たちは彼女たちの眼の奥に写実された現実を見ているのか、それとも、実体なき美の幻影を見ているのでしょうか。』
「オリジナルがあるからコピーが存在する」という従来の考え方を覆し、「コピーが先走って独自の現実を作り出す」という現代の情報社会のあり方を鋭く突いた概念といえます。
重厚な調度品に囲まれた室内で優雅なドレスや着物を着用した作品から、近未来的なガジェットを装着した現代的な作品まで、約30点を展示します。山本大貴のスーパーリアリズムの世界をぜひお楽しみください。
《イベント情報》
ギャラリートーク: 11月15日(日)13:00~ 定員60名 (要予約)
※公式HP、お電話(04-7136-2207)から予約をお願いします。詳細はHP、Xでお知らせします。