慶應義塾大学アート・センターでは、若い世代が学ぶ大学という場でこそ、現代という同時代を生きるアーティストたちの作品と出会い、多様な視点に触れる機会を作ることが重要と考え、現代美術展を企画してきました。
2024年より新たな試みとして、既成品を用い独自の眼差しでその新たな側面を見出す作品で知られている美術家・冨井大裕と3年連続の展示プロジェクト「SHOW-CASE PROJECT Extra」を始動しました。SHOW-CASEは展示ケースを指すと同時に、「ケースを見せる」と捉えることもできます。ある対応や態度を見せること、ケースを示すということです。かつて、このような考え方で、一つの展示ケースを提案し、そこから様々なアプローチを引き出すプロジェクト「SHOW-CASE project」のプロトタイプを一緒に作ったのが冨井大裕でした。アート・センターの45㎡の展示室 1室という展示空間もまた、ひとつのSHOW-CASEと捉えられるのではないか。あるいはさらに、展覧会という枠組み自体がSHOW-CASEとして機能していると捉えることもできるのかもしれません。そこで、本企画はいわば、ショーケースプロジェクトの番外編として「SHOW-CASE PROJECT Extra」と呼ばれることになりました。
2024年から始まった3年にわたるこの「SHOW-CASE PROJECT Extra」の第1回は、「モノコトの姿」と題して、冨井らしい既成品を用いた作品と、石膏の造形が並置/対比されました。第2回「接点の都合」では、旧作も含めた定規を用いた作品を展示しました。「像の条件」と題された最終回はいかなる展開となるでしょうか。この3回の展示を通して、展示空間と作品の関係、展覧会という枠組みそのものを問いかけます。
展覧会は時間と場所が区切られている「出来事」です。通常は一期一会的に成り立つもので、それが展覧会の魅力でもあります。その「出来事」を3年の連続形で考えることによってどのような展開が可能なのか、小さな展示室から新しい「出来事」の挑戦を発信します。
また、今回は、Extra シリーズのもととなった展示ケースひとつの「SHOW-CASE project No. 5 像の単位」も併せて実施します。1個の展示ケース、1室の展示室にそれぞれ展開する展示は連携するのか対立するのか、その関係性にもご注目ください。