ミュシャ財団秘蔵　ミュシャ展

　現在のチェコ共和国が生んだ偉大な芸術家アルフォンス・ミュシャ（1860～1939）は、アール・ヌーヴォーを代表するアーティストです。ウィーン、ミュンヘンを経て、世紀末のパリで活躍したミュシャは、当時の伝説的な女優サラ・ベルナールのポスター≪ジスモンダ≫を制作し、一夜にしてパリ中の話題をさらい、一躍、時代の寵児となります。その後、流れるような髪に華やかに着飾った美しい女性や様々な花、植物をあしらった装飾性豊かな作品は、ポスターの域を超え、ワインやリキュール、シャンパン、香水など商品のラベルや、チョコレート、ビスケットのパッケージデザイン、宝飾品、舞台衣装にいたるまで様々な芸術作品を生み出しました。まさにパリの街がまるごと“ミュシャの美術館”のように感じられるほどでした。 　ロンドンに拠点を置くミュシャ財団（理事長：ジョン・ミュシャ）は、1998年、プラハにミュシャ美術館が開館して以来、世界に散在するミュシャの作品を集めるとともに、既存の作品を修復するなど多様な“顔”をもつミュシャを一堂に紹介するプロジェクトを進めてきました。本展は、このプロジェクトの世界的な幕明けに位置づけられ、これまで日本で紹介されることのなかった作品を初めて紹介します。代表的なポスターや版画はもちろんのこと、その下絵となったデッサンや水彩画、ジュエリー、画家として最後までこだわりを持ち続けたミュシャが魂をこめて描いた油彩画など日本初公開作品を数多く紹介します。