現代の第一線で活躍する洋画家を顕彰する「損保ジャパン東郷青児美術館大賞」は、1977年の創設以来27人の受賞者を数えるまでになりました。東郷青児の提唱により、作家の国籍や具象・抽象を区別することなく、「感覚の新鮮さ」「技法の確かさ」「独自の世界の形成」を一貫した基準として選ばれた大賞受賞者は、第1回の宮永岳彦をはじめ、当館でも展覧会を開催したことのある第2回受賞者・三尾公三、永らく広島市立大学で教鞭をとった野田弘志(第14回)ら、いずれもそれぞれの「現代」を代表する実力者揃いです。
池口史子(ちかこ)は、2004年の第27回の大賞受賞者です。昨年の晩秋には、損保ジャパン東郷青児美術館で、大規模な受賞記念展が開催されました。池口は、東京藝術大学および大学院で山口薫に師事し、卒業後は、個展や立軌展、女流画家展、現代女流美術展、「両洋の眼」展などで作品を発表。また、1974年、1992年、1993年と安井賞展に入選し、1992年には、≪WHEAT POOL II≫で同賞の最終候補に残るなど、かねてより注目を集めていた画家です。池口は、1980年代後半の北米大陸風景との出会いをきっかけに、広大な大地にたつ無機質な建造物、異国の人気のない街並みなどを描いて、寂寥感に満ちた独自の風景画を創出しました。また花の静物画や、受賞作≪ワイン色のセーター≫などの近年の室内の女性像にも、凛とした独特の雰囲気をもつ世界を展開しています。
本展は、損保ジャパン東郷青児美術館と当館との長年の協力関係から実現した企画です。池口史子の初期作品から新作までの50点とともに、同館の所蔵する過去の大賞受賞者の作品と東郷青児の代表作を合わせて10点を展示し、現代の洋画の成果を紹介します。お楽しみください。