春季特別展「子供の情景」

井原市立田中美術館 | 岡山県

 平櫛田中は、明治30年代から40年代にかけての制作の初期には、子供や老人など身近の見慣れた風景に題材を求め、制作していました。この頃ヨーロッパ文学の影響で、日本でも自然主義文学が流行するようになると、その風潮は美術界にも波及し、身近で見慣れた題材を平明に表現し、その中にほのぼのとした情感を盛り込もうとする傾向が多くなってきたからです。  明治40年には、文部省美術展覧会が開設されました。これにより、美術界も総合美術展覧会の時代を迎えました。中央の団体に所属している画家のみならず、地方の画家たちにも、自由な作品発表の機会が与えられました。この頃には、現実に目を向けた、身近な題材による風俗画や子供のいる情景を描いた作品が、花鳥画や風景画と共に、文展という晴れの舞台に出品されました。  平櫛田中は、明治40年、文展に出品した「姉ごころ」を初め、「無矣無矣」(明治40年)、「童児と犬」(明治41年)など、子供のほのぼのとした情感を巧みな描写力で表現することを、この時代の特徴としています。  平櫛田中が研鑽を積んだ再興日本美術院では、新日本画の創造を目指して制作に取り組む過程で、歴史画や風景画が積極的に描かれました。横山大観、下村観山、菱田春草、木村武山らが同時代の子供を描くことはほとんどありませんでした。日本美術院で同時代の子供が描かれるようになるのは、安田靫彦や小林古径、そして小倉遊亀という次世代の画家が活躍するようになってからです。作家たちは子供を描くことにより、地方ごとに伝わる風俗だけでなく、家族の愛情や生命の息吹、小さい命の大切さなど、画にたくして伝えたかったのではないでしょうか。
会期
2006年4月21日(Fr)〜6月4日(Su)
会期終了
開館時間
9:00~17:00(入館16:30迄)
料金
一般700円(560円)、65歳以上350円(280円)、高校生以下無料 ※( )内は20名以上の団体料金
休館日
月曜日
会場
井原市立田中美術館
住所
〒715-8601 岡山県井原市井原町315
0866-62-8787
春季特別展「子供の情景」
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