とりわけ現在では、1990年代にはじまる、小説家・よしもとばななの諸著作への表紙絵や挿絵の提供で幅広い人気を得ていることは、改めていうまでもないことでしょう。
本展は、原マスミのその絵画作品に焦点をあて、改めてその魅力の秘密を紐解こうとするものです。彼の絵画=イラストレーションは、造形的には、対象のフォルムなどを簡略化し、濃密でありながら明快な色彩を用いるものが多いと言えるでしょう。そこに描く対象への素朴な思いやユーモアを伴った親しみある感情、時にシニカルな批評を織り交ぜつつ、“明るい孤独感”に満ちた思索的かつ夢幻的な明暗のコントラストの際立つ世界を作り上げています。彼のポップ・シュールな音楽世界と共通する魅力がその絵画世界も共通するものであることの一端は、彼のサウンドの熱烈なファンの多くが、同様に絵画にも魅せられていることによって明かされているでしょう。
本展の内容構成は、美術家・原マスミの初期から現在までの全軌跡を紹介するというものですが、同時にそれと表裏一体をなすミュージシャンとしての仕事、さらにはナレーションや声優などの仕事も、併せとり上げる予定です。「原マスミ大全集!」という呼称に相応しく、「表現者・原マスミ」の全貌をうかがい知る格好の機会にいたしたく思います。